ChatGPT~AIと人間の未来
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アウシュヴィッツの悲劇をAIは理解できるか…母語の有無
ChatGPT~AIと人間の未来(2)AIは意味を理解しているのか
西垣通(東京大学名誉教授)
第2話では、「AIが意味を理解しているのかどうか」を、深掘りしていく。そもそも「意味」とは何だろうか。AI研究者からは、「AIはそれなりに意味分析も行なっている」という声も挙がる。しかし西垣氏は、人間とAIとでは、言語の学び方も全然違うと指摘する。人間はまず、乳幼児期からの身体的経験に基づいて「母語(=第一言語)」を習得していく。言葉の意味を想像する力は、「生きてきた母語の世界」と深く結びついている。一方、青少年期以降に「第二言語」を学ぶときは、ある意味で機械的・形式的に学習していく。それでも、「母語」の世界と結びつけながら、意味を理解していく。だがAIは、機械的・形式的に言葉を学びながら、それを結びつける「母語」を持たない。身体的経験がないからだ。そのことが、いかなる違いや悲劇を生んでしまうのか。(全8話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分53秒
収録日:2023年3月15日
追加日:2023年5月25日
≪全文≫

●「身体的経験」をもたないAI


―― 二つ目にお聞きしたいのが、さきほども少し話に出ましたが、「AIが意味を理解しているのかどうか」についてです。この点を深掘りしてお聞きしたいのですが、先生はいかがお考えですか。

西垣 まず、「意味とは何か」ということが問われてきます。私がコンピュータエンジニアをしていた1970年代や80年代の頃から、AIが意味を理解できないということは本質的な限界であると指摘されていました。これに反論することはやはり難しかったのです。

 先ほど出た話にもあるように、事実に反することを言うのは、意味を理解していないことの証拠として考えられます。例えば、徳川家康が20世紀に生きていたというような誤りに対しては、AIはチェックできるのです。ここは微妙でもう少し深い話になります。

 というのは、何を言っているかというと、意味を理解していないという批判に対して、AIの専門家やIT技術者の中から、「(AIは)それなりに意味分析も行っていますよ」という答えも出てくるわけです。

 どういうことかというと、例えば、徳川家康という人物について、彼が政治家であり、何世紀に生きた人物であり、江戸幕府を作った人物であるといった事実を分析してデータベースに入れていくことができます。そうなると、家康が現代に生きているという出力はダメだと排除できることになる。

 これは意味分析であって、AIもそういうレベルで、つまり、表面的ないし形式的な、いわゆる事実に反するか否かの意味分析は可能です。これは大事なことです。「そういう攻め方で全部分かる」というのが、いわゆるAI楽観派です。

 これに基づくと、「意味分析もやっているし、世界の事実をきちんと分析して、構造化したデータがあるのだから、そういうやり方を改善していけば、おそらく人間と同じような判断ができるはずだ」と主張する人たちもいます。これも大事な点です。

 しかし、その一方で、まったく異なる意見もあります。例えば、言葉の問題からいえば、ChatGPTも「言葉の訓練」を受けています。

―― 言葉の訓練ですか。

西垣 そう、訓練。ChatGPTというのは、Chatが会話を意味し、GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略です。Generativeというのは言葉を生成する、作り出すという意味ですね。Pre-trainedというのは、前もって訓練されたということを指します。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ