ChatGPT~AIと人間の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「ネット集合知」に対する性善説を覆したQアノン的現実
ChatGPT~AIと人間の未来(6)「ネット集合知」の理想と現実
西垣通(東京大学名誉教授)
インターネットの創成期は、性善説的な「ネット集合知」に対する楽観主義に満ちていた。「皆で意見をあわせていくと、かなり正確な答えが出てくる」という理論もあり、インターネットの集合知が社会を良くしていくと考えられたのだ。しかし、近年その期待は裏切られている。アメリカでは社会的分断が深刻化する中で、Qアノン運動も盛んになった。それも大きな一因となって、連邦議会議事堂の襲撃という事件まで起きてしまった。Qアノンは、日本で先行していた匿名掲示板から生まれた。日本でも、匿名文化とも相まって、ネットでの他者攻撃が増大しつつある。インターネットの未来はどこへ向かうのか。今、私たちはその岐路に立たされている。(全8話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分34秒
収録日:2023年3月15日
追加日:2023年6月22日
≪全文≫

●「ネット集合知」の理想と現実


―― もう一点、先生のご著書で印象深かったのが、アメリカ西海岸が象徴的だというお話しでしたけれども、ネットに対する性善説的な考え方です。なぜ、皆の知恵やデータを集めるのがいいかというと、「集合知」といって、皆の知恵が集まってきて、 最終的には「いちばん確からしいもの」が出てくるに違いない。だから、インターネットにつないで、さまざまな人の声を集めることは、すごく社会を発展させるものになる、という性善説的な集合知の考え方がありました。しかし、だんだん(時代が)進んでくるにつれて、特にトランプ政権の頃から、「陰謀論が広まってしまった」「Qアノンのようなものが出てきました」などと指摘されるようになりました。そして、それを信じてしまって、極端な行動に走る人たちも出てきてしまいました。それゆえ、「本当に集合知が正しいのですか」「性善説で良かったのですか」という疑問も出てきました。先生はこの問題についてどうお考えですか?

西垣 一般の人々が自由に発言し、討論しながら物事を決めていくことは、民主主義ですよね。こういう考え方からすると、インターネットやワールド・ワイド・ウェブ(WWW)というのは、どう見ても「良いもの」です。誰でも自由に発言できるのですから。

 特に、私が西海岸にしばらくいた頃は、そのような夢やオプティミズム(楽観主義)が、わりとありました。それはそれで悪いものではないと思うし、Google社を設立した人たちにも、そのような理想主義があったと思います。

 「集合知」には、「皆の意見をあわせていくと、理論的にも正確な答えが得られやすい」という根拠もあります。この考え方は、民主主義と合致していたのです。

 ところが、そのような性善説に基づく楽観主義、特に2000年代半ばくらいに唱えられた「ネット集合知」は、残念ながら、2020年代にはいって「裏切られた」のが現状ではないでしょうか。

 「皆が皆のことを考える」という性善説は公共性重視です。ところが、皆で討論し、衆知を合わせて良い答えを出していく、という方向性が次第に失われていった。今ははっきり言うと、ネットが「他人を攻撃するツール」として使われている。

 民主主義では、自分と異なる意見に耳を傾けて、互いに理解する努力をしあって、そして合意点を見つけていくという手続きがなければいけません。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
IoTとは何か~モノのインターネットの本質(1)TRONは究極の「縁の下の力持ち」
坂村教授が開発したTRON―知られざる世界標準
坂村健
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
知性の進化と科学技術文明の未来(1)ヒトは本当に賢いか
なぜ人類は進化できたか?…5つの環境要因と脳の発達
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(5)ロシア正教が果たした役割
「ロシア正教こそが世界の中心」という使命感…ロシア正教の大きな役割と「儀礼改革派」「古儀式派」
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(1)対話とは何か――会話・説教との違い
「良き対話」のヒントを哲学から考える…「対話」の大前提とは、そして「会話」「説教」「場回し」とは何が違うのか?
納富信留
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(2)一途と覚悟で道を究める
自己鍛錬を目指す人に知ってほしい数々の名言
田口佳史
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉