世界哲学のすすめ
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「人間は世界内存在」ハイデガーに学ぶ哲学ならではの視点
世界哲学のすすめ(2)「世界」とは何か
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
世界哲学を考えるとき、まずは「世界」とは何か、その概念について考える必要がある。世界哲学は単に地球表面の人間世界だけでなく、全自然や宇宙などあらゆるものを対象とする。さらに、地理的なことだけでなく、時間的な「世」ということ、また世界内存在として世界に生きる私たち人間のことも同時に考えていくことになるのだ。(全9話中第2話)
時間:11分12秒
収録日:2024年9月6日
追加日:2025年1月22日
≪全文≫

●地球上の地域を指すだけではない「世界」


 世界哲学を考え始めようとするときに、まず必要なのは、このタイトルにある「世界」ということばです。世界と聞くと、日々当たり前に使っていると思うかもしれませんが、実はこれ自体けっこう複雑な概念で、昔から現在に至るまで哲学者が一つのテーマとして考えてきているものでもあります。

 世界哲学という名前を聞き、World Philosophyというと、地球上の地表面にあるさまざまな地域という意味でお取りになる方がほとんどだと思います。実際にそれは間違っていないし、そういう趣旨もあります。つまり、ヨーロッパや北アメリカだけでなく、地球上のさまざまな大陸や地域、あるいは島々のようなところも含めて、地球上全体で人類の運命全体を捉えていこうという趣旨が一つ、世界哲学というときには入ってきます。

 ですから、「世界哲学史」というプロジェクトで議論しているときも、やはりいろいろな地域やいろいろな時代から参加しましょうという意図がありました。その意味では、まずこの地球という一つのものの上の、いわば地表面全体を視野に入れましょうという意味が「世界」にはあります。日本・世界、あるいはアジア・ヨーロッパ・世界というときの世界です。これは一応地理的、空間的な把握ということになると思いますが、世界という概念自体はそれでは尽きないということになります。

 世界を指す単語には、例えばWorldがありますが、ギリシア語ではKosmosと世界を呼んでいました。Kosmosは秩序という意味で、ピタゴラスがこれを使い始めたといわれています。ご存じの方にはお分かりのように、これには宇宙という意味もあります。つまり、宇宙全体が一つの秩序である。そうすると、単に太陽系の第3惑星としての地球だけではなく、太陽系や銀河、宇宙全体を含めた全てということになるわけです。ですから、世界=万物という意味に使われることがよくあります。

 というよりも、哲学者はこういう意味でよく使います。ですから、哲学で「世界」という単語が出てきている場合、地球上のさまざまな大陸や島という意味ではなく、むしろわれわれが生きている全ての空間、そして時間が考えられています。そういう意味だとすると、世界哲学は単に地理的な概念だけでなく、むしろ全自然や宇宙などのあらゆるものを含んだ、いわば全てについて考えるという意味になろうかと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(2)仏法僧の三宝と対話による道徳的進歩
仏法僧の三宝――なぜ1人で仏教に向かってはいけないのか
中島隆博
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歌舞伎はスゴイ(4)歌舞伎のサバイバル術(後編)
江戸時代の歌舞伎にも大波乱が…どうやって生き残ったか
堀口茉純
健診結果から考える健康管理・新5カ条(4)血圧を甘く見てはいけない
血圧を甘く見てはいけない…血圧が血管を傷つける仕組み
野口緑
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦