西洋文明の起源から見るグローバル化
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「世界哲学」の可能性を日本から追求していく
西洋文明の起源から見るグローバル化(6)「世界哲学」
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
西洋文明の起源をたどりつつ世界のグローバル化を考えてきたが、現代の位置付けを探るには、ここにいたる全プロセスを俯瞰する必要がある。また、ギリシア・ローマの古典を現代にどう生かすかについても検討が必要だ。日本から「世界哲学」を発信することを通じて「対話」について再度考えてみたい。(全6話中第6話)
時間:11分38秒
収録日:2019年5月29日
追加日:2019年8月1日
≪全文≫

●古典文明を知るのはグローバル化の本質を理解するため


 西洋文明とグローバル化を考える最後の段階になりました。西洋文明の基盤と歴史を見極めることが、現在私たちが巻き込まれているグローバル化の本質を理解することにつながり、そしてグローバル化とは単に国境や地域がなくなった(ニュートラルになった)のではなく、西洋というものをかなりの部分においてみんなで共有し、あるいは共有せざるを得ない状況の中に置かれているということだとお伝えしてきたわけです。

 その場合に、日本人から見るとかなり遠く考えられがちなギリシア・ローマ世界の2千数百年から2千年ぐらい前までの文明を理解しないと、グローバル化の問題について、一番根っこのところは分からないままなのではないかということが、一つ目のポイントでした。

 もう一つは、キリスト教の問題があります。ギリシアとローマの古典文化は、非キリスト教の文化から始まります。ローマ時代にナザレのイエスがキリスト教をつくり、ギリシア語で新約聖書が書かれ、それが徐々にローマ帝国に普及して、最終的には全ローマ帝国がキリスト教化します。それが今日までつながったというストーリーなので、私の今回の話からいうと、キリスト教は次の段階の話なので、キリスト教の専門家にきちんとお話しいただきたいように思います。

 いずれにせよ、ギリシア・ローマだけで話が終わるわけではなく、キリスト教、近代科学や産業革命などの問題から現代にいたる図式の中で、現在はどういうところにあるのか。そのことをもう一回振り返らなくてはいけないということになるでしょう。

 ただし、ギリシア・ローマで一番古いところ、あるいは一番古いものがそこにあっただけではなく、実はどの時代にも一旦そこに戻りながら現代の問題を考えるように努めたことに、注意が必要だと思います。


●グローバル化にギリシア・ローマを生かす二つの方向性


 グローバル化を考える上で、ギリシア・ローマをどのように生かせばいいのかについて私自身は、二つぐらいの方向を考えています。

 私はギリシアの専門家なので、まず「ギリシア・ローマ」が実際にどういう文明だったのかをもう少し丁寧に見極めたい。現代に引き継がれている部分でないところ、古代にあったもっと別の可能性、当時の実際の論争状況などをより詳細に見ていくことです。これにより、もし...

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