江戸とローマ~哲人と俳人
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大谷翔平選手が現代の「粋」を体現!?一生懸命よりも遊び心
江戸とローマ~哲人と俳人(4)現代の「粋」とグローバリゼーション
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
現代の「粋」について考えるとき、大谷翔平選手の名を挙げる本村凌二氏。彼の「二刀流」には野球をとことん楽しみたい、野球の楽しさを体現したい、そんな楽しみ方、遊び心があるのではないだろうか。そして、江戸とローマでなぜ「粋」が生まれたかを考えると、そこには物質的なゆとりだけではなく、グローバリゼーションの時代が生んだ多様な人々との交流、情報の交換が影響しているのだろう。(全4話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分05秒
収録日:2021年9月16日
追加日:2023年10月12日
≪全文≫

●一生懸命だけじゃない!現代の「粋」を野球の楽しみ方で体現する大谷翔平


―― ところで、先生。現代において「粋」というのはどういう見せ方をするべきものだと思いますか。

本村 やはり私は、遊び心というものが非常に大切なのではないかと (思います)。つまり、何かに一生懸命というのは大事なことですけれども、なりふりかまわずそれになっているというよりも(ということで)、大谷翔平(選手)を見ていると、彼にはそういうところがあるのではないかと。つまり、ピッチャーとホームラン王争いをするような、二つのものを自分の中に持っているとき、これは普通に考えれば、当然どちらかに専念したほうがいいわけですけれども、彼の中にはおそらく何かを極めたいというより、野球を楽しんでいるのではないか。 野球を楽しむには、実際彼がやっているように投げて、打って、盗塁もする。そういう野球の楽しさを自分のできるかぎりやっている。そういう楽しみ方や遊び心がある(のでしょう)。

 それから、彼の言ったせりふ(発言)で私が非常に驚いたのは、「二刀流をやっていくことができなくなったら、どうするのですか」と訊かれた時の返答です。彼は「ぼくが辞めればいいのです」と言っていました。そうなったときには、あっさり野球を辞めればいい、と。

 そこに彼なりの、野球をどこかで楽しんでいる姿勢、自分はこれで楽しんでいるのだから、他の人からどうこう言われることではないという(部分が感じられました)。自分がやっていることをどこかで遊んでいられるようなところがあるのです。

―― やはり遊ぶ心と、何が楽しいかを自分が決めるというところが大事なのでしょうね。

本村 そうですね。やはり自分が大事だし、そのことは一生懸命やるのだけれど、100パーセントなりふりかまわずそれだけを見ているというのではなく、どこかにそういう物事を楽しんでいる自分なり部分がないと。

 世界史上のいろいろな人物を見ても、アレキサンダー大王、カエサルなどのような人たちは、どこかにそういう余裕があったのではないかと思います。

―― よく、いわゆる遊ぶことではなく、余裕の部分を「あそび」ということがあります。そういう意味での「あそび」を持っているというか、そういうところですね。

本村 そうですね。そういう部分を持っていないと何事においても、大成しないというような...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一