西洋文明の起源から見るグローバル化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
なぜ西洋文明の起源はギリシアにあったとされているのか
西洋文明の起源から見るグローバル化(3)学問の起源
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
西洋文明とグローバル化を考える上で、ギリシアが起源とされる「学問」の果たした役割は大きい。ルネサンス以来、何度も繰り返しギリシア・ローマの古典を再生する運動が、西洋では繰り返された。人文系と自然科学を問わず、それらの学問の成立と普遍化について探っていく。(全6話中第3話)
時間:10分49秒
収録日:2019年5月29日
追加日:2019年8月1日
≪全文≫

●西洋文明やヨーロッパはギリシアから始まったといわれている理由


 それでは、西洋文明をさらに深く考えていくに当たって、古代ギリシアという世界の持っていた意味を考えていきたいと思います。

 「西洋文明の起源(origin)がそこにあった」とよく言われますが、単純に考えて「どうして?」と思われるはずです。なぜならば、ギリシアに文明が芽生えるさらに2千年ぐらい前からエジプトやメソポタミア文明があったからです。それらの地域とギリシアは非常に近い場所で、ギリシアから見れば先進文明に当たります。

 ところが、西洋文明やヨーロッパは、エジプトやメソポタミアから始まったとはいいません。それはなぜかということを考えていきます。

 最初に申し上げたように、西洋の持っている「古典」というものは、「そこに戻って、それを模範として、それを自分の中に吸収していく」という意味です。この意味においてギリシア・ラテンだけが古典なのであり、エジプトやメソポタミアは古典とは呼ばれません。

 これがヨーロッパというものの一つの意味であり、かつ限界かもしれませんが、後のヨーロッパ中心主義につながっていきます。これは、現在の西ヨーロッパや北アメリカなどが「自分たちは西洋文明を担っている」というときに、アフリカや中近東などの要素は入ってこない、ということの歴史的な根っこを形作っているのです。

 例えば、皆さんルネサンスについてはご存じだと思いますが、ルネサンスというのは「再生する」という意味で、後世につけられた単語です。何を再生するかというと、古典です。つまり、ローマやギリシアの文化をもう一回呼び戻し、生まれ変わらせるのがルネサンスの意味です。ルネサンスから始まった近代が現在までつながっているということは、要するにギリシア・ローマのリバイバルが続いているということですね。「もう一度ギリシア・ローマに戻れ」という運動は18世紀や19世紀にも起こり、そのことが繰り返し行われてきました。


●ギリシアに始まったさまざまな学問


 起源(origin)を単にイメージの問題と捉えず、現代まで具体的にどうつながっているかを考える上で、古典の中で「学問」と呼ばれるものが受け継いでいるものについて考えていきたいと思います。

 これは、西周が19世紀半ばにヨーロッパへ行って、学ぼうと思ったさまざまな学問のどれを見ても全部ギ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
メソポタミア神話の基本を知る(1)メソポタミア神話の神々と人間との関係
メソポタミア神話は、ギリシア神話はじめ世界の神話の原点
鎌田東二
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(5)持続可能な天下泰平の制度設計
関ケ原はトップ官僚・石田三成と中央集権体制をつぶす戦い
片山杜秀
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介