この講義シリーズの第1話は
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人工知能のディープな可能性
人工知能の普及は新たな倫理問題を生み出す
人工知能のディープな可能性(4)人工知能との共生
科学と技術
松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻長 教授)
人工知能研究がもたらした変化の本質は、特徴を「認識」できることだ。何が重要かを知ることができる人工知能は、産業のあり方を変え、今まで想定されなかった権利や制度の問題を顕在化させるだろう。到来しつつある未来に向けて、日本社会はどう動いていくべきか。また、権利や倫理問題をどう解決していくか。東京大学大学院工学系研究科准教授・松尾豊氏による最終講話。(全4話中第4話)
時間:8分56秒
収録日:2016年1月15日
追加日:2016年5月16日
収録日:2016年1月15日
追加日:2016年5月16日
≪全文≫
●「機械では認識できないから人がやっている」ことも自動化されていく
変化の本質は何か。現在の世の中には、画像認識ができないから人間がやっている仕事がたくさんあります。これが自動化できるということです。コストで言うと、人間が監視する場合に比べて、このイメージセンサーと人工知能を使えば、おそらく100分の1以下になる。ということは、相当たくさんのものを見張ることができるようになります。例えば河川の水量がどうなっているか、土砂崩れしそうか。あるいは、山が噴火しそうかどうか、などです。こういう対象をずっと見張っているのは、従来ならばコストから考えて難しかったわけですが、それが可能になってくるということです。
さらに運動の習熟についてです。われわれは、機械には機械的な動きしかできないと思い込んでいますし、ロボットにはロボット的な動きしかできないと思い込んでいます。まさに「機械的」とか「ロボット的」という言葉が、それを表してしまっているわけです。しかしそうではなく、今後は機械も習熟するし、ロボットも上達していきます。そうなると、何がどう変わってくるのか。農業、建設、食品加工の分野は大きく変わると思います。例えば日常生活の中で、なぜ人が掃除をしないといけないのか。部屋の形は一つ一つ状況が違いますし、散らかり方も毎回違いますので、やはり「認識」をしない限りは、上手く掃除をすることはできなかった。だから、今まで機械化できなかったのです。
同じように、なぜコピーを取ってもらうことを人に頼まないといけないのか。それは、コピー機の位置が一つ一つオフィスによって違いますし、紙の大きさも違うので、そういった「状況」をきちんと「認識」しないと上手くできなかった。ところが、今後はそれができるようになるのだと考えると、ここに非常に巨大なマーケットが生まれるのではないかと、私は思います。
まさにSF的な社会ですが、今まで説明したような人工知能ロボットが、人々の生活や仕事の中にどんどん組み込まれていくような社会になっていくのではないかと思います。そのときに、私は、日本の国や日本企業のあり方から考えると、「子どもの人工知能」――ものづくり、ロボット、機械、こういった辺りから攻めれば、非常にチャンスが大きいのではないかと、私は思っています。
●「機械では認識できないから人がやっている」ことも自動化されていく
変化の本質は何か。現在の世の中には、画像認識ができないから人間がやっている仕事がたくさんあります。これが自動化できるということです。コストで言うと、人間が監視する場合に比べて、このイメージセンサーと人工知能を使えば、おそらく100分の1以下になる。ということは、相当たくさんのものを見張ることができるようになります。例えば河川の水量がどうなっているか、土砂崩れしそうか。あるいは、山が噴火しそうかどうか、などです。こういう対象をずっと見張っているのは、従来ならばコストから考えて難しかったわけですが、それが可能になってくるということです。
さらに運動の習熟についてです。われわれは、機械には機械的な動きしかできないと思い込んでいますし、ロボットにはロボット的な動きしかできないと思い込んでいます。まさに「機械的」とか「ロボット的」という言葉が、それを表してしまっているわけです。しかしそうではなく、今後は機械も習熟するし、ロボットも上達していきます。そうなると、何がどう変わってくるのか。農業、建設、食品加工の分野は大きく変わると思います。例えば日常生活の中で、なぜ人が掃除をしないといけないのか。部屋の形は一つ一つ状況が違いますし、散らかり方も毎回違いますので、やはり「認識」をしない限りは、上手く掃除をすることはできなかった。だから、今まで機械化できなかったのです。
同じように、なぜコピーを取ってもらうことを人に頼まないといけないのか。それは、コピー機の位置が一つ一つオフィスによって違いますし、紙の大きさも違うので、そういった「状況」をきちんと「認識」しないと上手くできなかった。ところが、今後はそれができるようになるのだと考えると、ここに非常に巨大なマーケットが生まれるのではないかと、私は思います。
まさにSF的な社会ですが、今まで説明したような人工知能ロボットが、人々の生活や仕事の中にどんどん組み込まれていくような社会になっていくのではないかと思います。そのときに、私は、日本の国や日本企業のあり方から考えると、「子どもの人工知能」――ものづくり、ロボット、機械、こういった辺りから攻めれば、非常にチャンスが大きいのではないかと、私は思っています。
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