人工知能のディープな可能性
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ディープラーニングとは?AI研究の第一人者松尾豊が解説
人工知能のディープな可能性(1)現在のブームは本物か
科学と技術
松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻長 教授)
SiriやPepperなど、いま人工知能がブームだ。しかし研究者が理想としてきた、「人間のように考えるコンピュータ」の実現はまだ程遠いようにも思える。最前線の人工知能研究は、どのような状況にあるのか。東京大学大学院工学系研究科准教授・松尾豊氏が、その現状と展望を語りながら、人工知能の「ディープ」な世界に誘う。(全4話中第1話)
時間:14分23秒
収録日:2016年1月15日
追加日:2016年5月12日
≪全文≫

●再々来した人工知能の「ブーム」


 東京大学の松尾と言います。人工知能について話していきたいと思います。

 今、人工知能というキーワードがすごく注目されています。人工知能という分野は、1956年に始まったと言われていますので、今年(2016年)でちょうど60年になります。この60年の間に、かなり激しい波がありました。ブームになっては冬の時代が来て、またブームになっては冬の時代が来て、という波を繰り返している分野です。今回またブームになってきているわけで、これは3回目のブームです。

 1回目のブームでは、「推論」や「探索」が中心になって、それが1950~60年代でした。2回目のブームは、「知識処理」「エキスパートシステム」というのが中心になり、日本では第五世代コンピュータ・プロジェクトという計画も行われましたが、それが1980年代でした。今、第3次のAIブームが来ていますが、そこではビッグデータ、それからコンピュータの処理能力増大を背景にして、「機械学習」あるいは「ディープラーニング」が注目されています。


●「ディープラーニング」は、従来の技術とは別格である


 キーワードとしてはたくさん出ています。例えばワトソン、Siri、Pepper、将棋の電王戦、自動運転、こういったものが人工知能に関するキーワードとしてよく挙げられます。実は歴史的に見ると、昔から研究されている技術が少しずつ良くなって今に至っている、と捉えるのがいいかと思っています。昔はできなかったことが、今になって急にできるようになっているわけではなく、少しずつ良くなっているということです。

 例えば将棋の電王戦で、プロ棋士に勝つような人工知能ができてきていますが、実はボードゲームについては、チェスでチャンピオンに勝ったのが1997年ですから、もう20年近く前からある話なのですね。さらにオセロはもっと前に勝っています。つまり、オセロよりチェスの方が難しくて、チェスより将棋の方が難しい。そして将棋より囲碁の方が難しい。だから人工知能が勝つのに時間がかかる。「難しい」というのは、その解空間が大きいという意味です。その難しい方向に向かって、技術がどんどん進化しているということです。そのためブームになっても、急に今までできなかったことができるようになるわけではありません。ですので、期待が過剰にな...

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