●研究者のネットワーク構築は進んでいる
―― そういう意味では、先生たちの知識階層のネットワーク、アカデミアのネットワークはかなりしっかりしたものがあります。先生が院生だった1980年代当時と比べてみても、どんどん充実してきていますね。
藤井 そうだと思いますね。
―― あの時代は、(アカデミアのネットワークは)アジアにはまだ日本しかなかったような(感じでしたね)。
藤井 当時はそういう意味では日本と、韓国もあったと思います。中国との交流は、中国から留学生なり研究員としていらっしゃっている方はおられました。そのようなイメージです。大学間でというと東京大学も、清華大学、北京大学とは相当昔から交流はやってきたとは思います。
―― 先生のように人間が好きで、好奇心が旺盛で、コミュニケーション能力のある人が直接行って話されることはすごく大事ですね。
藤井 大事だと思います。私自身もむしろ積極的にやったほうがいいだろうという判断で動いているという状況です。
ヨーロッパへ行けば、例えばETH(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)に行く。フランスへ行けば、パリの大学に行く。(2023年の)春先はシカゴ大学のポール・アリヴィサトスさん(学長)が来られて、量子コンピューティングの分野で、シカゴ大学・東京大学・IBM、シカゴ大学・東京大学・グーグルという2つのアライアンスのサインをしました。広島でブリンケン米国務長官と永岡桂子文科大臣(当時)に立ち会っていただいてサインするということを行いました。
それから、東京大学は日立製作所と産学協創という組織間の連携を行っているのですが、インペリアル・カレッジ(英)も日立製作所とクリーンテック分野で連携しています。そうであればトライアングルでやりましょうということで、インペリアル・カレッジとの協定のサインを日立製作所の立ち会いの下で行ったのです。
―― 面白いですね。日立製作所やグーグル、IBMが出てきたりと、いろいろな巻き込み方をしている。そうすると、より活性化するわけですね。シカゴ大学と東京大学とグーグルあるいはIBMを巻き込んでいくと。
藤井 はい。この量子コンピューティングという、まさに最先端の技術分野で、まずは日米間でしっかりやりましょうということ。最近、実は韓国もパートナーに入れよう、ソウル国立大学に入ってもらおうということで、ち...