●日本は今、留学生が少なくなっている
―― 先生、今日はどうもありがとうございます。
藤井 どうもありがとうございます。
―― 東京大学には最も優秀な人たち、意欲的な人たちがいますが、今、留学生の比率はどのようなイメージでしょうか。
藤井 海外に行くほうは、なかなか伸びていません。少ないですね。それともう1つ、海外から来るほうも含めて、今の課題は学部段階の留学生が少ないことです。
―― 留学生も少なくなってきたのですか。
藤井 ええ。海外に行く人も少ないのです。できれば卒業までに少なくとも1回は海外に短期間でも行って、海外の環境に浸る機会を設けてもらいたいと考えています。それから、海外から来るほうも増やして、その人たちとインタラクション(相互作用)できればいいなと。
そのためには、英語で教えるクラスを増やさなくてはいけません。これまでは、英語で教える科目が少なかったために、留学生といっても基本は日本語がきちんとできないとダメだったわけです。そういった人は、学部でも全体の数パーセントもいない。大学院は30パーセントほどいるのですが。
そのため、グローバル教育センターを(2023年4月に)つくりました。そこでは英語「を」教えるのではなく、英語「で」教えるクラスを30科目増やそうとしています。最終的に70科目ほどまで増やし、もっと留学生を増やそうという取り組みが1つ、動き出したところです。
それをベースに今、実は新しいカレッジを構想しています。これが始まると、そのカレッジでは全てを英語で学びます。
―― それは楽しみですね。
藤井 もちろん日本人の学生も、そこへ入れます。それから、必ず海外あるいは学外で最大1年までは学びの経験を積んでくることをオブリゲーション(義務)にしようとしています。
●新しいカレッジの2つのコンセプト
藤井 これ(新しいカレッジ、カレッジ・オブ・デザイン)のコンセプトは、大きく2つあります。
いま学部は、それぞれの分野に分かれています。法学、経済、文学、理学、農学、工学などに分かれているわけですが、全てを横断するようなプログラムをつくりたいと考えています。国際的に課題になっている、例えばサステナビリティの課題などは結局、どこかの分野だけでどうにかなる問題ではありません。いろいろな分野の知識を集めてきて、自分の問題意識や興味にし...