教育改革で何が変わるのか~2020年改革の解説
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大学教育改革で入口・中身・出口の一貫した教育を目指す
教育改革で何が変わるのか~2020年改革の解説(3)大学教育改革
小林浩(リクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長)
大学教育改革は、入学時、在学時、卒業時を一貫した視座から改善していくことを目的としている。大学数や学部名称の増加などによって、大学教育に対しては教育内容やその質に対する疑問が投げかけられるようになった。大学教育改革はそれに対して、教学マネジメントの整備によって学修者本位の教育の転換を目指す。(全4話中第3話)
時間:11分07秒
収録日:2019年10月28日
追加日:2019年12月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●この30年で、人口は減っているのに大学は増えている


 続いて、大学教育の改革です。大学教育の改革は一言でいうと、入口・中身・出口の一貫した教育を目指すというものです。

 これは、社会から見た大学の状況を整理したものです。左側が1990年で、右側が2019年です。1990年は今の高校生や大学生の保護者が大学に通っていた時代です。あるいは大手企業の人事部長や人事課長が大学に行っていた時代だと考えてください。

 その当時は、大学に進学する18歳の人口が200万人を超えていました。そして今は、なんと4割減って120万人を切っている状況です。その一方、大学の数は507校から786校と、1.5倍に増えています。これは不思議ですよね。おそらく、企業はこのマーケットになかなか参入できません。いわゆるレッドオーシャン(血の海)であり、競争が激しいシュリンクマーケットです。


●大学進学率の上昇が大学増加を引き起こした


 なぜ大学はこれだけ増えることができたのでしょうか。実は、この図の下にある進学率が大きく高まったということが原因です。1990年の大学進学率はなんと24.6パーセントでした。小学校でいうとクラスの4人に1人しか大学に行かなかったということです。この割合についてクイズを出すと、ほとんどの人が間違えます。当時かなりのボリュームを占めていたのが、高卒就職、短大進学です。

 2019年の大学進学率は、53.7パーセントでした。これは大学だけの数字です。そうなると、以前の約2倍以上、小学校でいうとクラスの半数以上の人が大学に進学するという時代になってきたのです。これで大学は、ある意味で救われたといえるかもしれません。


●新しい学部名称が増加した


 一方、図の中に「学士の学位に付記する専攻分野の名称」という分かりづらい表現がありますが、これは何かというとは、学部の名称だと思ってください。1991年までは、大学の学部名称は、29種類にとどまっていました。法学部・商学部・教育学部・理学部・農学部・獣医学部・理工学部といった簡素な名称で、29の領域が定められていました。

 しかし、時代が変わり、規制緩和と複合的な分野の必要性から、学部名称の見直しが行われました。その結果、なんと現在では700以上の学部の名称があります。そして、その6割が、一大学のみが使っている唯一名称です...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉
40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」
徳岡晃一郎