●明治維新以来の教育改革の意義
こんにちは。「2020年の教育改革」というテーマで本日はお話をさせていただきます。私はリクルート進学総研の所長で高等教育の専門誌、リクルート『カレッジマネジメント』編集長の小林浩と申します。よろしくお願いいたします。
今日のテーマは、明治維新以来といわれる教育改革で何が変わるのかということについてです。
●高大接続改革とは?
2019年現在、行われている教育改革は「高大接続改革」と呼ばれています。その教育改革の背景と目的についてまず共有をさせていただきます。
●社会が変われば必要とされる資質も変わる
皆さんは、このデータをご存じでしょうか。あと10年~20年で「消える職業」「なくなる職業」が書かれています。オクスフォード大学の、マイケル・オズボーン先生が提唱していたものです。アメリカの総雇用者の○○パーセントの仕事が自動化される可能性が高いというのです。このスライドにある通り、現在はこれだけの仕事があるとされています。自動化されると予想される仕事は、何パーセントぐらいだと思いますか? もしお手元に紙があったら、ちょっと書いてみてください。
それでは答えを見てみましょう。
47パーセントです。約半数の仕事が自動化されてしまうと言われています。
もう一つ見てみましょう。これはニューヨーク市立大学のキャシー・デヴィッドソン教授の予測です。2011年にアメリカの小学校に入学した子どもたちの○○パーセントは、大学卒業後、今は存在していない職業に就くと言われています。さあ、この○○パーセントに数値を書き入れてみてください。
書けたでしょうか。
なんとこれは65パーセントです。3人に2人は今ない職業に就くと言われています。つまり、社会が変われば、必要とされる資質・能力が変わってくるということです。
●これまでの社会では情報処理力が求められた
これまでの社会とこれからの社会を比較してみたいと思います。スライドの左から右へ、ブルーからピンクへご覧いただければと思います。これまでの社会は「工業化社会」で、生産年齢人口は15歳から65歳までと言われており、人口は増加してきました。これは「人口ボーナス」といわれる、良い時代でした。欧米という成功モデルがあり、それに追いつけ追い越せということで、キャッチアップする社会でした。大学進学率は50パーセント未満で、大学はリーダーを養成する機関としての役割がありました。
そのときに求められていたのは、早く効率的に1つの正解を求める力、つまり知識技能の習得と再生で、私たちはこれを「情報処理力」と呼んでいます。日本人の中だけの同質化社会で、年功序列終身雇用といわれる状況下で、同一文化の中でのキャリア積み上げが、暗黙の了解でした。
●これからの社会に必要なのは、主体的に学び続けられる能力
これからの社会はどうなっていくのでしょうか。スライドのピンクの部分をご覧ください。これからは「知識基盤社会」であり、生産年齢人口がどんどん減っていきます。人口ボーナスに対して「人口オーナス」といわれ、一人一人の肩に大きな負荷がかかってくるということです。グローバルに多極化する社会であり、対欧米だけではなく、現在人口が増えているASEAN諸国や、2030年以降にはナイジェリアを中心としたアフリカの重要度が増していくといいます。ご存じの通り、中国は海のルートと陸のルート両方で、アフリカに対するチャネルを構築しています。
大学進学率は50パーセントを超え、ユニバーサル化と言われています。ユニバーサル化は日本語に直すと「大衆化」です。大衆芸能や大衆食堂の「大衆」です。そうした時代に求められるのは、知識や技能を得ることだけではなく、それらを活用することです。一つの回答ではなく、複数の納得解を出していく必要があります。そのためには、得た知識情報を編集していく力―――私たちは「情報編集力」と呼んでいます―――、つまり思考力や判断力、表現力が求められていきます。
日本では今後、当然終身雇用という仕組みが崩れていきます。その中で、自分のキャリアを自分で切り開き、異文化の中で多様性を許容していくことが求められていきます。グローバル化、技術革新、IT化が進んだ、変化が激しく予想困難な社会において必要とされる能力は、主体的・能動的に学び続けられる能力であり、そうした人の育成が重要です。
●学力の下方拡大が進んでいる
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