万葉集の秘密~日本文化と中国文化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本的な良さ…『万葉集』には翻訳文学の側面もある
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(4)最大の翻訳文学
上野誠(國學院大學文学部日本文学科 教授(特別専任)/奈良大学 名誉教授)
『万葉集』は最大の翻訳文学であると上野氏は言う。日本には外来のものが多いが、それをしっかり学び、長い時間をかけて日本のものにしていくところに日本文化の良さがある。『万葉集』においても、同様で中国文化の影響を受けながらも日本風につくりかえられ、現代にまでその影響を残しているのである。(全5話中4話)
時間:14分13秒
収録日:2022年9月13日
追加日:2023年4月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●母国語で高等教育ができるということ


 少し毛色が違う話になるかもしれませんが、自分自身が臨終を迎える際に、妻が枕元で「お父さん、お父さん」と呼びかけているとします。その呼びかけられている死の間際に、「サンキューベリーマッチ」と言いますか。さらには、「深く感謝の意を表します」と言いますか。

 おそらく私は、声を振り絞って、こう言うと思います。「ありがとう……」。声を絞って、「ありがとう……」くらいの感じで言うと思いますよ。

 「ありがたい」というのは現代語形容詞で、古典語形容詞は「ありがたし」です。「ありがたし」は、有るのが難しいということです。有るのが難しいとは、あなたが私にやってくれた行為はなかなかできるものではない、ということ。そこから、形容詞「ありがたし」が感謝の気持ちを伝える言葉になるわけです。言葉の歴史を背負っているわけです。それがわれわれの言葉なのですね。

 実をいうと、高等教育が母国語でできている国は意外に少ないのです。

 英語は当然、できます。世界の英語ですから。ドイツ語も当然ですね。学問の歴史もあります。フランス語も当然、大丈夫です。スペイン語も、実をいうとけっこうマーケットが広い。ラテンアメリカまで入りますから。さらに中国語は10億以上という人たちがいるので、可能です。

 たった1億の人口で、ほぼ高等教育がまかなえているのが、実は日本です。韓国はたくさん大学もありますが、少し特殊な分野になると、外国の学校に留学する以外には道がない場合があります。韓国の音楽家がほとんど外国で教育を受けているのは、そういう事情があるようです。実際に、今の韓国の知識人層は子どもをアメリカの大学に入れることに一生懸命です。われわれは一応、さまざまな分野も含めて、日本語で教育できているわけです。お医者さんの教育も、ほぼできるわけです。

 かつて医学を勉強する人は、ドイツ語でなくてはどうしようもなかった時期があります。私の曽祖父でしたら、農業の勉強について、家に残っているテキストなどを見ると、英語で勉強をするしかなかったようです。実際にアメリカに留学をしていますから、そういう状況がありました。

 それ(母国語で高等教育をする)には、お金がなければいけませんし、一定の人口規模がなくてはいけません。もう1つは、その言葉を自由に使い回すためのさまざまな歴史が必...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
歌舞伎はスゴイ(3)歌舞伎のサバイバル術(前編)
草創期からの度重なる「規制」と「スキャンダル」を超えて
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯(1)吉原で始まった蔦重の出版活動
2025年大河『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』 江戸のメディア王・蔦屋重三郎が吉原遊郭で培った斬新な出版アイディア
堀口茉純
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経済と社会の本質を見抜く(4)コンプライアンスとリスクの境界線
コンプライアンスよりも重いレピュテーショナルリスク問題
柳川範之
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正