●宇宙は138億歳~ビッグバン後の進化をたどる~
ということで、ビッグバンがようやく始まったわけです。では宇宙がどうやって進化していくのか、概略を示します。
まず、ビッグバン直後はとても熱いので、物質はすべて輻射の形をしています。光のようなものですが、そういうものがドロドロに溶けた状態です。
そして、宇宙は膨張して、急速に冷えていきます。冷えていきますと、重いものから消滅していきます。まず陽子と反陽子が対消滅を起こして、光子になります。そして若干の陽子が残って、物質が宇宙に残ることになります。それが宇宙開闢から10-6秒程度に起きると考えられています。
その後、数十秒たちますと、今度は軽めの粒子である電子が陽電子と対消滅をして、消えていきます。そして光子になるわけですが、その電子が若干、今の宇宙に残ることになります。
さらに時代は下って、3分ほどたちますと徐々に原子核が合成されていきます。陽子や中性子が結合していくことで、水素だけではなくて、ヘリウムやリチウム(原子核)が合成されます。この時間は3分程度と考えられています。
その後しばらく、冷えるにしたがって色々なことがあるのですが、重大なことは、38万年たった後、「宇宙の晴れ上がり」が起きることです。これは具体的にいうと、プラズマが再結合して原子になるところです。プラズマは、自由に電子と陽子が行き来していますので電磁波を自由に放射する状態です。原子になってしまいますと、それは自由にならない。「スペクトル線」という非常に限られた周波数帯でしか放射を行うことができないことになります。なので、プラズマ状態から原子状態になったときに、宇宙は透明になると考えられます。
太陽は表面しか見えませんよね。それは太陽が(濃密な)プラズマの塊だからです。ただプラズマが原子化すると(ほぼ)透明になります。なので、38万年以降は、宇宙は透明になる。透明になって、それ以降はスカスカに光子が通じてくるということになります。
スライドの右の図でいうところの一番上が宇宙開闢で、一番下が現在なのですが、「宇宙の晴れ上がり」は上の方にあります。この晴れ上がったところが最後に熱かった宇宙が見えるところです。つまり、「宇宙マイクロ波背景放射」は、この晴れ上がった直後の38万歳の宇宙を...