「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ルメートルの「動的な宇宙モデル」は膨張宇宙論の先駆け
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(6)動的宇宙解と宇宙膨張の発見
岡朋治(慶應義塾大学理工学部物理学科教授)
アインシュタインの一般相対性理論から「膨張したり収縮したりする宇宙」を導き出したフリードマン。若くして亡くなったため、アインシュタインとの論争には発展しなかったが、その後、膨張宇宙論の先駆けとなるルメートルの「動的な宇宙モデル」に対して、アインシュタインは強い拒否感を示したという。しかし、その2年後、エドウィン・ハッブルによって宇宙膨張の発見が報告されることになる。彼らは動的な宇宙について、それぞれどのように理論を発展させていったのか。(全12話中第6話)
時間:12分02秒
収録日:2020年8月25日
追加日:2021年1月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●フリードマンが導いた「膨張したり収縮したりする宇宙」


 (前回、動的な宇宙が一般相対性理論から予測されたのですが、)これはどういうことか。前回ちらりと言いましたが、アインシュタイン方程式を使い、一様等方そして平均的に宇宙全体を取り扱おうとした場合は、ある解が求められます。「フリードマン・ルメートル・ロバートソン・ウォーカー計量」と呼ばれるものです。

 そこに物質の状態方程式を使い、ロシアのアレクサンドル・フリードマンが1922年に、ある方程式を導きました。それがスライド右側にあるオレンジの枠でくくられたところの方程式なのですが、前回お話したアインシュタイン方程式よりはかなり分かりやすい形をしている微分方程式です。これは何を意味しているかというと、要するに一様等方宇宙が時間発展するということを示す方程式なのです。

 そして、その解が右下の図で示されています。宇宙全体の大きさを示すa(t)が縦軸の単位になっています。横軸の単位は時間です。a(t)は「宇宙のスケール因子」といいますが、これは時間の関数として、いろいろと変化してしまうということが分かってしまったのです。そして、この変化の具合が、三つのパラメータで決定されるということまで分かってしまいました。

 三つのパラメータについてですが、まず「密度パラメータ」(Ω)は宇宙全体の質量の多さ(質量密度の多さ)を示す量です。二つ目は「宇宙の曲率」(k)で、これは宇宙が閉じているか、開いているかを表すパラメータです。三つ目は「宇宙定数」(Λ、ラムダ)です。

 実際のところ、フリードマンが1922年に求めた解では、宇宙定数は考えていませんでした。なので、右下の図でいうところの、黄色とオレンジと赤のグラフが「フリードマン宇宙」と呼ばれるものです。

 これを聞いたアインシュタインは、とても怒ったらしいですね。そんなことはないだろうと。解としてはあり得るけれども、物理的にそういうことはあり得ない。なぜかというと、アインシュタインは、宇宙とは定常的に恒久的に存在しないといけないという信念の持ち主でありましたから、定常的な宇宙以外は受け入れられなかったのです。よって宇宙が膨張したり収縮したりするのは困るわけです。だからこそ宇宙項を入れたのです。

 ということで、アインシュタインはとても怒...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通

人気の講義ランキングTOP10
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(4)歌舞伎のサバイバル術(後編)
江戸時代の歌舞伎にも大波乱が…どうやって生き残ったか
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
株価と歴史…トランプ関税の影響を読む(2)株価リターンの歴史から考える
株式リターンの歴史検証…大きな構造変化の影響を見抜く
養田功一郎
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝