海底の仕組みと地球のメカニズム
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
地温勾配とソリダス――中央海嶺ができる仕組みに迫る
第2話へ進む
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
沖野郷子(東京大学大気海洋研究所教授/理学博士)
海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の理論動向まで解説するシリーズ講義。第1話は、地球全体の火山活動の8割が起こっているという「中央海嶺」を中心に、海底の生まれるところについて話を伺った。(全8話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分03秒
収録日:2020年10月22日
追加日:2021年5月2日
≪全文≫

●太平洋の海底の年齢は1億年以上


―― 皆さま、こんにちは。本日は東京大学大気海洋研究所教授・沖野郷子先生に、「海底と地球システム」についてのお話を伺いたいと思います。沖野先生、どうぞよろしくお願いいたします。

沖野 よろしくお願いいたします。

―― 今回、「海底と地球システム」という大きなテーマの講義になってくるわけですが、主にはプレート理論といいますか、海底がどうつくられて、沈んでいくかという動きについてお話を頂くということですね。

沖野 そうですね。

―― 地震大国日本ですので、だいたいプレートが日本近海で沈み込んでいるというのはさまざまなニュースなどでご存じの方が多いとは思いますが、そのプレートが一体どこから来ているのかは案外ご存じない方も多いかと思います。沖野先生はまさにプレートが生まれるところ、そこについての研究が一番のご専門ですか。

沖野 そうです。

―― 最初に伺いますが、プレートはどこから来るのでしょうか。

沖野 例えば上の地図を見ますと、ご存じのように日本列島です。日本列島は、東北日本の場合、ここ(太平洋側)に日本海溝という、紫で描いてあるような深い海がありますが、その東側の太平洋のプレートが東北日本の下に沈み込んでいます。

 西南日本の場合、ちょっと浅いので色が緑っぽくなっていますが、ここが「南海トラフ」と呼ばれている、プレートの沈み込む場所で、その南側のフィリピン海プレートが西南日本の下に沈み込んでいます。フィリピン海プレートは、西の方では琉球海溝(南西諸島海溝)のところにも北西向きに沈み込んでいます。例えば、2011年の大きな地震を起こしたところがここ(東北日本の太平洋側)ですが、ここの場合は太平洋プレートが沈み込んでいます。沈み込む向きは北西向きからだいたい西向きで、ちょっと時間をスルスルっと巻き戻すと、そのプレートはどこかすごく遠くからやってきたことになります。

 実は日本の沖合の太平洋の部分は、海底の年齢にすると1億年以上になります。

―― 1億年ですか。そうすると、ほぼ恐竜がいたぐらいの時代になるわけですか。

沖野 そうですね。


●地球の火山活動の8割は「中央海嶺」で起こっている


沖野 この図を見ますと、これは世界中の海底の年齢を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子