海底の仕組みと地球のメカニズム
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地球が火星よりも地形探査が困難な理由
海底の仕組みと地球のメカニズム(5)海底調査の実際と衛星高度計
沖野郷子(東京大学大気海洋研究所教授/理学博士)
では実際にどうやって海底の地形を調べるのか。地球は火星よりも地形探査が困難だが、それは海があるからである。地球の深海底は非常に探査のしにくいところで、現在使われている地図も水深を推定したものだという。そこで「衛星高度計」を使って海面を測る方法が取られているのだが、海底にある山の高さまでは正確に分からないので、現地での調査には危険を伴うことも少なくない。(全8話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分32秒
収録日:2020年10月22日
追加日:2021年5月30日
≪全文≫

●地球の地形調査が困難なのは海が原因


沖野 それでは、これまで話してきたこと(海底の地形)をどうやって調べるかという話を次のスライドでしたいと思います。

―― よろしくお願いいたします。

沖野 そもそも、火山の活動とか、地震計を置くには海に行って調査をしないと本当のことは分からない。地球の深海底はすごく探査のしにくいところです。

 例えば、このスライドの下の図が地球で、北極側と南極側から見ている画です。これ(上の図)が火星で、NASAのデータです。大きさは、半径だと地球の6割ぐらいで、少し小ぶりな感じです。この図では非常によく地形が分かります。地球と違ってあまり直線的なものがない。ここ(上の図の左の画の中央右側あたり)に大峡谷があるのが特徴ですが、全体としては、地球に見られるような海溝とかがないので、火星はプレートテクトニクスの世界ではないということです。いずれにしても、非常にきれいに地形が見えています。

 地球も、地球全体を俯瞰するようなスケールで見ると、いかにも詳細に調査できているように見えるんですが、惑星全体としてどれだけ高い分解能で地形が調査できているかというと、火星のほうがよく調査できているのです。
―― それはどうしてですか。

沖野 (地球には)水があるのが非常に困るのです。

 火星をどうやって探査しているかというと、火星の周りを周回する探査機から電磁波を出して、火星の表面から返ってくる波をキャッチして、高さを測っているのです。一方、地球で探査機を周回させると、出した電磁波が海面で返ってきてしまいます。地球の表面の7割ぐらいが海なので、地球の探査をする際、火星と同じ方法を取ると、海面を測ってしまって海底がよく分からないという事情があるのです。

 こういう話をしますと、この画を見て「でも、こんなによく分かっているじゃないか」といわれます。ただ、ここには2つポイントがあります。1つは、こういうスケールで見ているからなのであって、ずっと細かく見るとイメージがぼやけてしまうということです。もう1つは、このレベルでさえ実は測っていないということです。推定した地形なのです。

 実際に水の中を測ろうと思うと、音波で測るしかありません。火星で使っている電磁波のようなものは、水の中ではすぐ減衰してしまうので海底まで...

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