海底の仕組みと地球のメカニズム
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地球だけに存在するプレートテクトニクスの限界と可能性
海底の仕組みと地球のメカニズム(8)プレートテクトニクスを超えて
沖野郷子(東京大学大気海洋研究所教授/理学博士)
プレートテクトニクスは1960年代半ばに生まれた考え方で、「地球の表面は固いプレートで覆われていて相対運動をしている」と考えるとさまざまな観測事実がうまく説明できるという。しかし、「ホットスポット」と呼ばれるハワイやアイスランドのような場所がなぜできたのかはうまく説明できない。また、「巨大火成岩岩石区」と呼ばれる巨大な溶岩の台地が地球の歴史上、何回もできているが、それもうまく説明できない。それはなぜか。そこにプレートテクトニクスの限界がある。もう1つ考えなければいけないのは、なぜ地球がプレートテクトニクスのシステムかということだ。鍵は海にあるかもしれない。そこに今後の研究の面白さがある。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分54秒
収録日:2020年10月22日
追加日:2021年6月20日
≪全文≫

●プレートテクトニクスでは「ホットスポット」の説明ができない


沖野 「プレートテクトニクス」はだいたい1960年代の半ばに生まれた考え方で、これは定理や原理とは少し異なっています。「地球の表面は固いプレートで覆われていて相対運動をしている」と考えると、さまざまな観測事実がうまく説明できるという、ある種の考え方、パラダイムで、考える枠組みとして提唱されています。

―― 状況を説明できる理論ということですか。

沖野 そうですね。でも、理論というと少し微妙で、証明するとかそういうものではなくて、こういう考え方に則ると、いろいろなことが説明できるというものです。ただ、非常に有能なパラダイムで、提唱されてから50年以上たっていますが、地球表層の現象のいろいろなことを、私たちはいまだにプレートテクトニクスを基盤にして説明しようとしていますし、非常にうまく説明できるのです。

 とはいえ、プレートテクトニクスが万能ではなく、いくつか問題点といいますか、説明できていないこともあります。

―― そこは面白いですね。

沖野 はい。例えば一番分かりやすいのでは、プレートテクトニクスの考え方によると、プレートは板であるということです。なので、板の内部は固くて変形しない。いろいろな地震とか火山は、縁でこすれ合ったり、押したり引いたりするから起こると。では、ハワイは何なのだということになります。

―― 火山ですね、確かに。

沖野 はい。ハワイはなぜできたか。ハワイは、例えば岩石の調査とか物理探査からすると、非常に深いところから温かいものが上がってきてできた火山で、こういう場所を「ホットスポット」といいますけれども、地球上にいくつかあります。一番有名なのはハワイとアイスランド。旅行に行くのであれば、ちょっと小規模ですが、アメリカのイエローストーン。これらのものをあまり説明ができません。

―― 先ほどの説明ですと、開いてしまったところを埋めるために上がってきて、マグマになるということでしたよね。そこは違うということですね。

沖野 違います。沈み込み帯の火山でもない。深いところから来ていることはいろいろな状況証拠から確かですが、プレートテクトニクスの枠組みには入れられません。プレートテクトニクスは表層のことしか説明していないからです。したがって、1つの大きなポイントは、地球の深部との関...

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