異常気象と気候変動・地球温暖化2
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「エルニーニョ・ラニーニャ現象」とは何か
異常気象と気候変動・地球温暖化2(5)エルニーニョ・ラニーニャ
中村尚(東京大学 先端科学技術研究センター シニアリサーシフェロー)
長期の気候を予測する際には海洋の状態を織り込む必要があるが、このような海洋の変動においてもっとも大きいものが、エルニーニョ・ラニーニャ現象である。今回の講義では、このエルニーニョ・ラニーニャ現象が詳しく解説され、その影響を踏まえたアンサンブル予報の手法と実例が紹介される。(全6話中第5話)
時間:7分51秒
収録日:2019年3月26日
追加日:2019年7月23日
≪全文≫

●「エルニーニョ・ラニーニャ現象」とは何か


 長期の予報にとって重要なのは海洋の状態ですが、その海洋の状態の中で一番大きな自然変動をもたらすのが「エルニーニョ・ラニーニャ現象」です。これは、熱帯太平洋の大気と海洋が結合して、変動を起こす現象です。ここでは、これについて簡単にご説明します。

 熱帯の太平洋は、特に大気と海洋が普段からお互いに大きな影響を及ぼし合っています。そして、その状態が周期的、あるいは半周期的に変わっていきます。その結果としてある時期には、「ラニーニャ」と呼ばれる状態になります。これは、水温や雨の降り方に関して、東西で非常にコントラストが付く状態です。そして、特に東の方が冷たくなります。気圧も東の方が高くて、オーストラリアの方で気圧が低くなります。その結果、気圧の高い東から低い西に貿易風が強く吹きます。さらに、それによって実は東の海洋において冷たい水が湧き上がってくるわけです。そして、これがまた強い冷たさを維持・強化します。

 ですから、熱帯太平洋の東側では積乱雲の発達が抑えられてしまって、逆にインドネシアとかオーストラリアの方でより雨が降りやすい状況になります。このあたりは普段から雨が降りやすいのですが、それが一層顕著になるということです。

 他方でエルニーニョはそれとは対照的な状態で、東西のコントラストが弱まった状態を指します。ですから、普段は冷たい熱帯太平洋の東の方で、水温が普段よりも上がります。それによって、貿易風も当然弱くなりますし、それから東の方における冷たい水の湧き出しも弱くなって、東側の暖かさを支えるようになります。雨の降り方も、実はオーストラリア・インドネシアの方から少し太平洋の方に降水域が広がってきます。このように、降水域がずれてきますので、インドネシア・オーストラリアの方では雨が普段よりも少なくなるわけです。

 これは、雨の降り方が変わりますから当然、凝結熱の出し方も変わるということです。それに大気の循環が応答して、広い範囲で大気循環が変わるということになります。


●エルニーニョ・ラニーニャ現象とアンサンブル予報


 上の資料は、最新の予測です。これは、複数のモデルを用いたアンサンブルの季節予報です。これは、韓...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
進化的人間考~ヒトの性質と異様な現代社会(1)進化のスパンと現在の人間生活
ヒトの進化史を文明の発展の時間軸から考える
長谷川眞理子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(4)甘えない子が心の病気になる
二宮尊徳はヤングケアラー!?なぜ甘えない子が心を病むのか
與那覇潤
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
新撰組と幕末日本の「真実」(8)戊辰戦争~明治期の新撰組の魂
受け継がれる魂…戊辰戦争での奮戦と自由民権運動の情熱
堀口茉純
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(3)祖先崇拝の5つの特徴
夢魔の重圧?…なぜ「バチあたりの人間」が村八分になるのか
賴住光子
ドンロー・ドクトリンの台頭(1)トランプ系論と2025年度版NSS
ドンロー・ドクトリンとは?トランプ系論と西半球の重要性
東秀敏
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(4)脳の構造と特徴
「脳のしわが多いと頭がいい」は誤解…ヒトの脳の特異点
毛内拡