異常気象と気候変動・地球温暖化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
豪雨や強力な台風を増加させる日本近海の海水の温暖化
異常気象と気候変動・地球温暖化(6)極端な気候現象
科学と技術
中村尚(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
地球温暖化は今後も進展していくが、それに伴って極端な気候現象が世界各地で起こると予測できる。近年の九州北部豪雨や日本に上陸する台風の強力化は、その一例として説明することができる。(全7話中第6話)
時間:10分29秒
収録日:2019年3月26日
追加日:2019年5月25日
≪全文≫

●温暖化は極端な天候をさまざまに増加させる


 前回までの講義で、温暖化という気候変化がすでに起きていて、それが今後も引き続き起こり続けるであろうということを説明しました。今回は、この温暖化傾向の中で起こると予測されている、極端な気候現象についてお話しします。

 上の資料の3つの図は、IPCCの第5次評価報告書が提示したものです。例えば左上の図は、年最大の5日間降水量の変化を示しています。どの5日間でもいいのですが、年間における最大の降水量を各地で見ていきます。それが20世紀の終わりから21世紀の終わりまで、100年間でどのぐらい増えるかということを、この図は表しています。青系統の色は、降水量が増えることを示しています。それはすなわち、ほとんどの地域で極端降水が増えるということを意味しています。

 一方、左下の図は連続無降水日の日数(についての同様な変化)を示しています。この図で黄色や茶色になっているところは、無降水日が長くなっていることを意味します。シベリアと高緯度地域を除いて、全般に無降水日も増えています。この2つの図を整合的に見ると、雨が降らない日と非常に激しい雨が降る日、それらが極端になっているということがいえます。また、この連続無降水日が長くなっていることからは、すでに雨が少ない所すなわち乾燥地域において、将来の干ばつが深刻化するだろうという予測もできます。

 それから右下の図は、年最高気温の変化を表しています。これももちろん、全ての地域で上昇しているわけです。特に、橙色になっている場所では、100年間で4度から6度も上昇すると予測されています。これは、猛暑が激化するリスクを物語っているわけですが、起こり得るシナリオの中で最も温暖化が進んで温室効果が強まった場合の予測です。


●2010年代の九州北部豪雨は、温暖化に伴う極端な天候の例である


 ここで、このような極端な気候現象について、その一つの例を紹介します。それは、2012(平成24)年7月の、九州北部豪雨です。2017(平成29)年にも起こりましたが、実はその5年前にも九州北部で顕著な豪雨災害が起こっています。資料の左の図は、2012年7月11日から14日の、気象庁レーダーによる4日間の積算雨量を表しています。これを見ると、阿蘇では800ミ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
2050年のための「前向きの愛国心」(1)木造都市へのシフト
木造ビルで20階…新しい暮らしを支える森林産業の確立を
小宮山宏
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
編集部ラジオ2025(19)堀口茉純先生の「講義録」発刊!
著者が語る!『『江戸名所図会』と浮世絵で歩く東京』
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
日本のエネルギー政策大転換は可能か?(1)原発最大限活用の根拠と可能性
第7次エネルギー基本計画とは?原発活用方針の是非を問う
鈴木達治郎