●温暖化は極端な天候をさまざまに増加させる
前回までの講義で、温暖化という気候変化がすでに起きていて、それが今後も引き続き起こり続けるであろうということを説明しました。今回は、この温暖化傾向の中で起こると予測されている、極端な気候現象についてお話しします。
上の資料の3つの図は、IPCCの第5次評価報告書が提示したものです。例えば左上の図は、年最大の5日間降水量の変化を示しています。どの5日間でもいいのですが、年間における最大の降水量を各地で見ていきます。それが20世紀の終わりから21世紀の終わりまで、100年間でどのぐらい増えるかということを、この図は表しています。青系統の色は、降水量が増えることを示しています。それはすなわち、ほとんどの地域で極端降水が増えるということを意味しています。
一方、左下の図は連続無降水日の日数(についての同様な変化)を示しています。この図で黄色や茶色になっているところは、無降水日が長くなっていることを意味します。シベリアと高緯度地域を除いて、全般に無降水日も増えています。この2つの図を整合的に見ると、雨が降らない日と非常に激しい雨が降る日、それらが極端になっているということがいえます。また、この連続無降水日が長くなっていることからは、すでに雨が少ない所すなわち乾燥地域において、将来の干ばつが深刻化するだろうという予測もできます。
それから右下の図は、年最高気温の変化を表しています。これももちろん、全ての地域で上昇しているわけです。特に、橙色になっている場所では、100年間で4度から6度も上昇すると予測されています。これは、猛暑が激化するリスクを物語っているわけですが、起こり得るシナリオの中で最も温暖化が進んで温室効果が強まった場合の予測です。
●2010年代の九州北部豪雨は、温暖化に伴う極端な天候の例である
ここで、このような極端な気候現象について、その一つの例を紹介します。それは、2012(平成24)年7月の、九州北部豪雨です。2017(平成29)年にも起こりましたが、実はその5年前にも九州北部で顕著な豪雨災害が起こっています。資料の左の図は、2012年7月11日から14日の、気象庁レーダーによる4日間の積算雨量を表しています。これを見ると、阿蘇では800ミ...