異常気象と気候変動・地球温暖化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
エアロゾルが気候にもたらす多様な影響
異常気象と気候変動・地球温暖化(3)エアロゾルの影響
中村尚(東京大学名誉教授/東京大学先端科学技術研究センター シニアリサーチフェロー)
過去の気候を再現する、あるいは将来の気候を予測する際、「エアロゾル」と呼ばれる大気中の微粒子の効果が、再現・予測のばらつきを意味する不確実性をもたらすという。エアロゾルはどのようなメカニズムで、どのような影響を気候に与えるのだろうか。(全7話中第3話)
時間:6分30秒
収録日:2019年3月26日
追加日:2019年5月25日
≪全文≫

●エアロゾルが気候の将来予測に不確実性をもたらす


 (前回お話しした)過去の気候の再現、あるいは将来予測において、温室効果ガス(の排出シナリオ)に加えて、不確実性をもたらすもう一つの要因があります。それが、「エアロゾル」と呼ばれる大気中の微粒子の効果です。

 上の資料は、先ほどよりも新しく、2013年に発表されたIPCCの第5次評価報告書における、気候再現の結果です。ここには大気を加熱させる、つまり気候システムの加熱に働くといった強制が全て書いてあります。そしてその加熱のほとんどが、二酸化炭素、あるいはメタンといった温室効果ガスの増加によるものであるということが分かると思います。

 一方で、図の左下にある青い部分は、気候を冷やそうとする効果を表しています。気候を冷やす効果の中で特に大きいのがエアロゾルの効果です。エアロゾルにも実は、いろいろと種類があります。後で説明するように、例えば、すすのようなものを「Black carbon」といいますが、黒いエアロゾルは逆に、太陽の放射エネルギーを吸収して大気を加熱しようとします。しかし、他のエアロゾルは気候システムを冷やす方向に働きます。

 重要なのはエアロゾルと雲との相互作用で、この相互作用が気候を冷やすように働いていると考えられます。グラフにおいて横棒で示されたのは不確実性の大きさなのですが、エアロゾルによる不確実性が非常に大きいということが分かります。ですので、エアロゾルと雲が不確実性のもう一つの大きな要因になっていることが分かると思います。なお、太陽放射の活動変動からの影響はほんのわずかです。


●エアロゾルが気候にもたらす多様な影響


 エアロゾルは、急激な重力落下をしないで空気中にある程度の時間滞留できる微粒子のことです。エアロゾルのサイズは非常に小さく、0.001マイクロメートルから20マイクロメートルです。0,001マイクロメートルとは1ナノメートルで、マイクロメートルとは1,000分の1ミリメートルです。エアロゾルは、それぐらいの非常に小さな微粒子です。例えばPM2.5(の2.5)というのは、エアロゾルのサイズ(2.5マイクロメートル)のことです。

 エアロゾルがもし大気中にあると、「フォトン」 と呼ばれる太陽からのエネルギーを運ぶ粒(光子)の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
「満洲」から考える日本とアジア(3)「渤海」とはいかなる国か
謎の「渤海」…7世紀末から10世紀まで満洲で栄えた渤海と奈良時代以降の日本との交流の背景は安全保障
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(32)鎌田東二先生の法華経講義解説-1
【10min名作探訪】鎌田東二先生の『法華経』講義の核心ビジョン
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
Microsoft Copilot~AIで仕事はどう変わるか(7)AI活用の落とし穴
AIへの不安と懸念…だからこそ「教養」が必要になる
渡辺宣彦
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ