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ワクチンによる抗体の生成は? 免疫はどこまで続く?

ウィズ・コロナ時代の医学展望(4)ワクチン接種の現状と症状の長期化

堀江重郎
順天堂大学医学部大学院医学研究科 教授
情報・テキスト
最近、問題になっているのが長期的な新型コロナ患者が増えてきているということだ。中にはPCR検査がずっと陽性のままという患者もいるという。感染予防や重症化防止にはワクチン接種が有効なのだが、ワクチンによる抗体の形成には個人差があるとともに、今後の変異に対してどうやって対応していくのかという問題もある。いったい世界的な鎮静化まで、あとどれくらいかかるのだろうか。(全4話中第4話)
時間:09:57
収録日:2021/09/01
追加日:2021/10/21
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≪全文≫

●長期症状を患う方が増えてきているという問題


 問題はやはりワクチンを打ちたがらない方がどこの国、どの社会にも相当数いることです。分析よると、これには収入や教育水準が関係しています。また、母性などいろいろな要因があると思いますが、女性は男性より打ちたがらない傾向にあります。特にジェネレーションZと言われる16~23歳の方たちは、いろいろな意味でワクチンを拒否する方が多いです。続くミレニアル世代といわれる24~38歳も、ワクチンに対して積極的ではない方がいます。

 これは特にアメリカのことですが、ワクチンもマスクもしないという人が多いのです。面白いことに、これには共和党の支持者が多く、どちらかというと、大都市ではなくて田舎にそういった信条を持っている方が多くいます。

 問題は、やはり皆さんがワクチンを打たないと、社会がオープンになったときに感染者がどうしても増えてしまうということです。重症化しないのであれば、感染者が出てもいいという発想がありますが、一方で問題として最近分かってきたことの一つが、長期症状を患う方が増えてきていることです。要するに、1週間や10日で治らない方が相当数いることが分かってきました。WHOによると、新型コロナウイルス感染症を発症した人の10人に1人に、長期間症状があります。

 そしてもう一つには、感染者が多いと、新たな変異株が出てくるリスクがあることがいわれています。デルタ株が最後では全くなく、今後も感染者数が多い地域でイプシロン株やシータ株がどんどん出てくる可能性があります。そのため、おそらく当分の間は少なくともマスクの着用は必要になってくると思います。


●コロナウイルス対策に、エイズウイルス専門家の参画を


 今申し上げた症状の長期化として、極度の疲労、息切れ、そして、脳に霧がかかったみたいに集中力や記憶力が低下してしまうブレイン・フォグがあります。さらに、睡眠障害や発熱、胃腸障害、不安、うつあるいは自己免疫疾患といった症状が出てくることが分かっています。従来でも、慢性疲労症候群という、原因がはっきりしない疲労がかなり長い間続いて、就労ができない方がいました。これはウイルス感染症が原因だと考えられていたのですが、今回のコロナ感染症でも、こういった方が徐々に顕在化しています。

 一つの原因としては、コロナウイルスの持続感染があるといわれています。実はずっとPCRが陽性のままというかわいそうな患者さんがいることが分かっています。こういう方は、他の方にうつす可能性はほとんどないと言われていますが、症状が長期間続きます。こういう方を増やさないようにしたい、そのためにはどうすべきかという大きな問題が今、起きつつあります。

 その中で今、分かってきたのは、このウイルスの遺伝子がわれわれの遺伝子の中に組み込まれてしまっている人がいることです。実際にわれわれの遺伝子を調べてみると、このコロナウイルスに限らず、白血病のウイルスを始め、実はいろいろなウイルスの断片を見つけることができます。人類の何万年の歴史の中で、いろいろなウイルスが体の中に残っています。今回アメリカのマサチューセッツ工科大学のグループが、SARS-CoV-2が人の遺伝子に組み込まれていることを発見しています。これが今、お話ししたような長期の症状がある方や、長期間PCRが陽性の方に関係しているのではないかということも示唆されています。

 これに組み込まれるものとして、エイズウイルスがあります。そういったことから、コロナウイルス対策には、エイズウイルス研究の専門家の参画が期待されます。例えば、米国で現在アドバイスをしているエイズウイルス研究の専門家であるアンソニー・ファウチ博士など、ウイルス研究の専門家が重要だと考えます。


●抗体の成熟化と免疫の記憶


 こういったワクチンを打つと、果たして抗体ができたのか、皆さん関心があると思います。そして、やはりワクチンを打っても高齢者の方、あるいは抗がん剤や自己免疫疾患がある方は、抗体価が上がりにくいことが分かってきています。抗体が低下した段階で、ブーストするために、3回目を接種することも必要だといわれています。

 しかし逆の言い方をすると、抗体がわーっとできても、全部が全部有効な“兵隊さん”とは言えない部分もあります。国立感染研究所の新しい研究によると、抗体の全体の数は減っていっても、強力な抗体だけは残っていきます。これを医学的には「抗体の成熟化」といい、時間とともに変異株にも対応できる抗体ができてくることが知られています。

 ただし、これ...
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