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納豆1パックでご飯を3膳…一汁一菜とお酒の極意&愉しみ

和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(6)小泉流「一汁一菜」決定版

小泉武夫
農学博士/食文化評論者/東京農業大学名誉教授
概要・テキスト
質疑応答の2話目では、「発酵食品やお酒の菌体は腸まで届いているのか」「和食の調理法として、最も健康にいいものは何か」に続いて、「小泉流『一汁一菜』決定版は?」という質問が飛び出した。味噌汁とご飯で「一汁」。小泉氏が選んだ究極の「一菜」をめぐって話は弾んでいく。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13:51
収録日:2023/01/24
追加日:2023/05/13
タグ:
≪全文≫

●発酵食品の菌体は腸に届いているのか?


―― 次に「基本的な質問です」ということで来ているものをいくつか混ぜてお伺いします。たとえば納豆や味噌など、発酵食品は健康に良いと言われますが、細菌が腸まで届いているものなのでしょうか、ということです。

 あるいはお酒。お酒も飲むと、腸にその善玉菌が届くものでしょうか。このように同じような趣旨の質問が来ております。

小泉 はい。ええ、実は体の中に菌体が入ることで免疫も高くなるというのは、もうすでにいろいろな大学で分かってきています。

 そして、さっき私がお話ししたように、免疫を体の中につけるためには、一つに発酵食品、一つに繊維、それから微生物の菌体。たとえば乳酸菌の製品が売っているでしょう。また、酵母を乾燥させた「エビオス」錠という商品もあります。ああいう菌体が、それに当たるものとして知られています。

 ところが、味噌の中には乳酸菌がいっぱいいる。その味噌に納豆を加えて、納豆汁をつくる。そうすると、味噌にいた乳酸菌も納豆菌も熱によって死んでしまうから、腸まで行かないのではないかという話をよく聞きますが、実はそんなことはないのです。菌体が体の中に入ると、生きていても死んでいても、みんな腸まで届きます。これは東京大学で3年ぐらい前に正式に発表したことです。

 先ほど、免疫について大切なことを言うのを忘れました。人間の免疫細胞はどこでつくるかというと、8割は腸でつくるのです。だから今、医師の間では大腸生理学というのが非常に重要な学問になってきているわけです。そうした免疫を腸でつくるときに、菌体成分がそこを通過すれば、免疫細胞が増えてくるということが分かりました。これは、菌体が生きていても死んでいても構わない。体の中に菌体成分が入って、腸を通過するときに免疫をつくってくれるということが分かってきたわけです。だから、安心してそういうものを食べて、また熱に掛けて食べても結構です。


●お酒は健康増進のためではなく、楽しみのために


―― お酒はどうなのでしょうか。お酒が腸にいい働きをする、とくに日本酒などが働くことというのはあるのですか。

小泉 ああ、それは多糖類が多いことと関係があります。ただ、いいですか。ここで出せるいい答えもありますが、私が言いたいのは、お酒で健康をつくるという考えは、あまりよくないということです...
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