免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える
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予防接種は新型コロナウイルス感染拡大を抑制しているのか
免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える(3)社会的環境と予防接種
感染症における基本再生産数は、感染拡大に関する重要な指標である。しかし、その数値は対人距離によって変わり、また社会的環境によって実際の再生産数(実効再生産数)は大きく変動する。集団免疫については、BCGに代表される予防接種が新型コロナウイルス感染拡大を抑制しているのではないかという議論がある。予防接種は私たちが持っている自然免疫にどんな影響を与えているのか。宮坂昌之先生に伺った。(全11話中第3話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分26秒
収録日:2020年6月4日
追加日:2020年7月1日
≪全文≫

●基本再生産数は社会を構成する環境要素によって変動する


―― 現在、集団免疫に関する議論も盛んに行われており、重要なポイントなので、いくつか基礎的な質問をさせていただきたいと思います。
 最近、まさに「R0」「基本再生産数」という言葉を耳にすることが多くなってきています。前回、宮坂先生にご説明いただいたように、これは1人の感染者が何人に感染させるかを示す値です。例えば、新型コロナウイルスであれば、世界的に約2.5といわれているのだと思いますが、これはいかがでしょうか。

宮坂 この値は地域によって異なります。人口密集地域では約4.0の場合もあり、一方では2.5より低いとされる地域もあります。その社会を構成するさまざまな環境要素によって、この数字は変動します。

 例えば、中国の最初の疫学的な調査では、何千人を対象とした際に、1人の感染者から何人の感染者が出たか調べました。この調査のためには、「トレーシング」といって、感染者の対人接触状況を調べます。日本で行われている、いわゆるクラスター解析に近いもので、それによって1人がおよそ何人に感染させたかが分かりますが、その平均が2.5程度だったということです。どの国でも基本的にはそれに近い数字で、感染の状況が終息に向かい、さまざまな状況が平均化されてくると、1人の感染者から2.5人程度の人に感染させるという結果が得られたのです。


●基本再生産数に最も大きく影響するのは人と人との距離


―― 今のご指摘によれば、この指標は状況によって大きく変わってくるということでした。よく指摘されるように、キスやハグをする文化の有無や、日本の場合では日ごろから土足で家に入らず、手洗いなども徹底しており、マスクの装着率も高いなど、さまざまな社会環境要因が挙げられます。また、密集率に関しては日本国内でも、例えば渋谷の雑踏などと岩手県など比較的地方の地域では当然この値には差があるという認識で良いのでしょうか。

宮坂 はい。基本再生産数に最も大きく影響するパラメーターは、人と人との距離の関係です。つまり、このウイルスの一番の特徴は人から人へとうつることなのです。人からものを介しての接触感染は指摘されていますが、私の理解ではおそらく9割は飛沫感染だと思います。すなわち人と人がある一定の近距離で話をした際に、ウイルスが人にうつるという経路が、基本的な感...

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