免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
新型コロナにも可能性のある「ウイルス感染の再燃」とは
免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える(8)感染性の有無と持続感染の懸念
新型コロナウイルス対策のためには、感度の高い試薬が必要となる。現在、急ピッチで開発が進められているが、善玉抗体だけを見分ける試薬はまだ開発されていない。また、検査で陽性となっても、発症から一定期間経過した人から出るウイルスにはほぼ感染性がないことも分かってきた。ただし、持続感染の可能性もあるので、引き続き慎重に対応策を考えていく必要がある。(全11話中第8話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分13秒
収録日:2020年6月4日
追加日:2020年7月2日
≪全文≫

●高感度の試薬は開発されつつあるが、善玉抗体の有無の判定は難しい


曽根 2点ほど質問があります。1つは確認なのですが、ロシュ社の抗体検査の試薬はかなり感度が高いと報道されています。これらの試薬では、季節性インフルエンザの抗体とコロナウイルスの抗体の区別は可能という理解でよろしいのでしょうか。

宮坂 はい、その通りです。

曽根 ただし善玉、悪玉、役無しという抗体の区別はできないのですね。

宮坂 今の検査ではできません。

曽根 もう1つの質問です。プロ野球選手が抗体検査を受けて抗体を持っていることが分かったが、PCR検査を行うとウイルスを保持していることも分かったと報道されました。この関係はどのようなものなのでしょうか。抗体によってウイルスはほとんど排除されていて、その死骸を発見したのか、あるいは抗体を持っていても無症状の保持者と同じようにウイルスを保持しているという可能性もあるのでしょうか。

宮坂 順にお答えします。

 まず、抗体検査の測定キットの能力に関しては、前々回スライドで示しました。もし、スライドにある赤玉の抗原だけを精製して、そこに結合する抗体を探せば、中和抗体の有無の検査になります。一方、緑の丸や黄色の丸を用いても意味がありません。ですので、うまく赤い丸だけを精製することができれば、中和抗体を抗体検査で確認することは不可能ではありません。しかし、現在行われている検査の多くは、例えばスパイクたんぱく質を丸ごと用いる、あるいはスパイクたんぱく質の赤丸に近いと考えられる部分を用いて行いますが、その一部は実は他のコロナウイルスとよく似た配列なので、特異抗体も見つけられますが、同時に交差性の抗体とも反応してしまいます。

 これまでに、どの部分を選べば本当に正確に抗体が計測できるかという知識が蓄積されてきて、ロシュ社などが持っているキットは、他のコロナウイルスの抗体はほぼ検出せず、新型コロナウイルスだけを検出します。そのようなキットはたしかに出てきていますが、中和抗体だけを計測できるキットは、現段階ではまだありません。


●分かってきたウイルスの感染性変化の経過


宮坂 それから、プロ野球選手が抗体検査で陽性だったので、PCR検査を行うとこちらも陽性だったということがありました。球団の発表では、この人は以前...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
1分チャージ! 新・エクササイズ理論
たった1分で効果を上げる新運動理論と攻めのダイエット
堀江重郎
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
ウイルスの話~その本質と特性(1)生物なのか、そうではないのか
きわめて特異的な「ウイルスと宿主の関係」
長谷川眞理子
「男性更年期」とは何か
うつやほてり…男性ホルモン・テストステロン減少のせい?
堀江重郎
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治