免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
私たちの免疫能力は後天的に決まるのか遺伝によるものなのか
免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える(5)集団免疫獲得と地域差
健康と医療
スウェーデンは、強い自然免疫力を持つ人たちによる集団免疫の獲得を目指して生活への制限を極力行わない方針を取ったが、その代償として日本よりも多くの死者を出した。一方、日本は比較的緩い制限でとどめたが、良い結果を得ているのであればそれでも十分かもしれない。では、予防接種によって自然免疫が刺激された場合、どの程度効果が持続するのだろうか。これについては、BCGの集団接種を行っている国とそうでない国の違いや、その中でも地域差があるという。(全11話中第5話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分21秒
収録日:2020年6月4日
追加日:2020年7月1日
≪全文≫

●スウェーデンよりも日本のウイルス対策で十分なのか


―― 曽根先生、前回までのお話に関してご質問はありますでしょうか。

曽根 宮坂先生の非常に重要なメッセージは、スライドの8ページにあると思います。特に右側の図に関して、これまでは集団免疫を獲得するには獲得免疫を持つ人が6割必要だといわれてきたと思うのです。しかし、十分な自然免疫を持っている社会の構成員の比率は測定できているのでしょうか。これは現実には非常に難しい問題だと思いますが、例えば、十分な自然免疫を持つ人が4割、獲得免疫を持つ人が2割存在すれば、合計6割という数字になるのでしょうか。

 もう一つは、前回までの話でご指摘があった通り、隔離によって基本再生産数を1.2まで下げることを目指すべきなのでしょうか。それとも自然免疫を高めれば、強く隔離をしなくても基本再生産数を1.2前後に保つことが可能なのでしょうか。こうしたことが分かるか分からないかによって、今後取るべき対策は大きく変わってくるかと思います。

宮坂 そうですね。ご指摘の点をどう考えるかで今後の対策が変わってくると思います。

曽根 この点に関して、お教えいただけますか。

宮坂 ご指摘のように、新しい考え方では集団免疫を考える際には、抗体による免疫だけが全てではありません。自然免疫も重要だとすれば、自然免疫は集団免疫の形成に全体としてどの程度貢献するのか、という点はよく分かっていません。

 しかし、私の考えでは、集団の10パーセントから20パーセントの人たちは、かなり強い自然免疫を持っており、よほど大量のウイルスにさらされない限り感染しません。つまり、比較的抵抗性のある集団が、10パーセントから20パーセント程度いるのではないかと思っています。感染がこのまま拡大していけば、そのような強い自然免疫を持った人たちだけが残っていく可能性があります。その場合、徐々にウイルスが感染しにくい集団が選択されていくことになるわけですね。

 しかし、その場合には感染した人が、高いスピードで亡くなるという仮定が必要です。例えば、スウェーデンはこの方針を取り、亡くなる方は仕方がないものとして、生き延びる人たちの中で抗体を持つ集団を増やそうとしています。あと1年から2年持ちこたえれば、効果が出てくるかもしれません。

 しかし、100万...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
感染症予防・がん治療に使えるmRNAワクチン(1)mRNAとは何か
コロナだけでなく個別化医療の可能性を秘めたmRNAワクチン
内田智士
和食の深い秘密~なぜ身体に良いのか(1)和食の特徴と日本人
日本人は地球上最もベジタリアンだった?和食の7つの基本
小泉武夫
新しいアンチエイジングへの挑戦(1)患者と伴走する医者の存在
だべったら生存期間が倍に…ストレスマネジメントの重要性
堀江重郎
今どきの若者たちのからだ、心、社会(1)ライフヒストリーからみた思春期
なぜ思春期は大事なのか?コホート研究10年の成果に迫る
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治