世界経済の見方とIMFの役割
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
デフレ懸念のあった世界経済、なぜインフレが起こったのか
第2話へ進む
世界経済はどう動くのか…コロナ禍とIMFの分析
世界経済の見方とIMFの役割(1)パンデミックに直面した世界経済の変化
田中琢二(元・国際通貨基金(IMF)日本代表理事)
グローバル経済が地球規模で拡大する現代において、IMF(国際通貨基金)の役割もますます重要性を帯びている。特に2023年、4年目に突入した新型コロナウイルス感染症のパンデミック、そして1年が経過しようとしているウクライナ戦争によって、世界は類例のない経済危機に陥っている。この状況下で、IMFの日本代表理事として直接この問題に携わってきた田中琢二氏に、世界経済の動向とIMFの関係、そして今後の展望について、これから6回にわたり講義していただく。(全6話中第1話)
時間:12分18秒
収録日:2023年1月11日
追加日:2023年2月2日
≪全文≫

●世界経済危機をIMFはどのように分析したのか


 2022年の夏まで、3年間、ワシントンのIMF(国際通貨基金)の日本代表理事をしておりました田中琢二です。よろしくお願いいたします。

 本日こうしてテンミニッツTVを通じて、皆様と現在の世界経済を動かしている要因を知って、今後の世界経済の見方・読み方を共有させていただく機会を得ましたことを、まず御礼申し上げます。いつの時期に話の焦点を合わせるかといいますと、パンデミックにより世界経済が危機に瀕した2020年春から現在までの世界経済の動きと今後の展望をターゲットにしたいと思います。

 パンデミックの発生時には「類を見ない世界経済危機(A Crisis Like No Other)」といわれた経済危機をどのように乗り越えてきたか、また現在の世界経済はどのような情勢にあるのか、そして今後気をつけておかなければいけないリスクとは何かについて、IMFの分析を中心に見ていきたいと思います。

 そして、この危機に対する分析と対応にあたって、中核的な役割を担ってきたIMFについて、そもそもIMFとは何かということを含めて説明し、最後に日本の今後の可能性についてという順序でお話をしていきます。

 世界経済は目まぐるしく動いています。いかに経済情勢が目まぐるしく変化してきたか、現在の世界経済への理解にたどり着くために、パンデミックが世界経済に影響を及ぼし始めた2020年春から現在までの経済の変化を追っていくことにします。

 この3年間の動きが大きく180度転換したこと、つまりデフレからインフレへ大きな変化を遂げてきたことが分かります。インフレになりましたという現象面だけでなく、こうした大きな情勢の変化がどのような要因で起きたのか、現在の世界経済を動かしている背景とは何か、ということを学ぶことにより、今後も世界経済が大きく変化するとすれば、その背景は何かということをいつも意識して行動判断できると考えます。今後の変化への対応への心の備え、あるいはその要因をしっかり把握していこうとする姿勢につながっていけばいいと考えております。


●利用可能な全ての政策手段を用いる


 それでは世界経済がどのように動いているかを学ぶケーススタディとして、新型コロナウイルス感染症への対応で世界経済がどのように動いたのかを、具体的に見ていくことにしましょう。

 まず、新型コロナウイルス感染症...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ