「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯
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田沼なくして蔦重なし? 再評価される江戸経済の真実
「江戸のメディア王」蔦屋重三郎の生涯(3)田沼意次の経済政策
堀口茉純(歴史作家、江戸風俗研究家)
蔦重が出版界で大きな成功を収めた要因として、ちょうどそれが田沼意次時代だったということ抜きには語れない。田沼が政策を指揮していた時代特有の、開放的でポジティブな経済の潮流が、蔦重やほかの商人の意気を育んだ。具体的に田沼の経済政策の特徴をひも解いていこう。(全8話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分36秒
収録日:2024年11月6日
追加日:2025年1月23日
≪全文≫

●田沼意次は経済政策面で画期的だった


―― 前回(第1話・第2話)の講義で蔦屋重三郎、蔦重さんの生涯についてお話しいただきましたけれども、この蔦重について考えるときには、第1話の講義でもお話がございましたけれども、田沼時代であるというその時代背景が非常に重要だということでした。この田沼意次は、いろいろな評価をされる人ですけれども、この回では、その人がどういう人なのかということに迫ってみたいと思います。堀口さんは学生のころから田沼意次が大好きだということですね。

堀口 そうですね(笑)。個人的に大好きです。

―― 昔だと、本当に賄賂政治のイメージが強いですから、「好きです」と言うと、「え!」という反応が多かったのではないかと思うのですが、そこはいかがですか?

堀口 そうですね。「なんで?」というところから、まず言われてしまう田沼意次ではありましたけれども、この方は江戸時代における経済政策という意味で見たときに、本当に画期的なことをやっていたと思いますし、再評価がなされるべくしてなされている人だなと、魅力的な人だなと感じています。

―― なるほど。いよいよ本格的な再評価の時代がやってきたというところでございますね。

堀口 はい。嬉しいかぎりです(笑)。


●田沼なくして蔦重の台頭はなかった


堀口 まさに蔦屋重三郎が生きた時代が田沼時代ということで、蔦重の活躍というのは田沼時代という時代があったからこそ、蔦重は田沼時代という時代が生んだ寵児だと私も思っております。その活躍期の前半が田沼時代に当たるということで、この時代の雰囲気がなければ、本当に活躍はできなかったということなのです。

―― いま、時代の雰囲気というのがありましたけれども、ひと言でいうと、どういう雰囲気だったということですか?

堀口 やはり経済が動いていた時代なのです。

―― 盛り上がっていく。

堀口 はい。人びとが「自分ももしかすると、がんばればお金を稼いで上に行けるかもしれない」というエネルギーに溢れていた時代です。

 田沼時代というのは言うまでもなく、田沼意次が中心となって幕府の政治を動かしていた時代なわけですが、始まりの時期に関しては諸説あるのですけれども、一応、田沼が10代将軍徳川家治の側用人に就任して、相良城主になった明和4年(1767年)ごろからとするのが一般的です。


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