徳川将軍と江戸幕府~家重、家治、家斉編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
平賀源内の登用や重商政策で時流を捉えた田沼意次の不運
徳川将軍と江戸幕府~家重、家治、家斉編(4)田沼意次の重商政策と不運
10代将軍・徳川家治に仕えた田沼意次は、重商政策と開国政策を進めるなど時代の変化を捉えた斬新で革新的な頭脳の持ち主だった。にもかかわらず、彼の評価はあまり良いとはいえない。それは優秀なビジョンをもちながらも、タイミングに恵まれなかったからだった。その象徴的な出来事が印旛沼の干拓事業で起こっている。(全5話中4話) ※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:8分20秒
収録日:2020年12月14日
追加日:2022年2月5日
≪全文≫

●時代の変化を捉えていた田沼意次


山内 それから、江戸が大きくなっていったときに、江戸という都市というものの繁栄や生産、あるいは税収をどのようにしていくか。つまり、商人に対して重農政策ではなく重商政策を取り、都市の商人や消費者をいかに新しい生産と消費のシステムに入れていくか。そして、そこから幕府が税を吸収していくか。このような時代に入ってきたことを、幕府の新しいビジョンとして考えなければいけない時代に来ました。

 その結果として、徳川家治、田沼意次は自ずとコンビとなって、互いに必要としたのです。

 この関連でいえば、重商政策の非常に大きな観点は、やはり国を開くということです。折からロシアの進出が目立ち、ロシア問題をどう処理するかということが、田沼の頃から江戸幕府の大きな政治課題になってきました。これは松平定信にとっても大きな問題になります。

 簡単にいうと、田沼は国を開く開国政策を採ろうとしました。定信は開国を胸に秘めながらも、わが国の門閥政治家、将軍の一番オーソドックスな政策の継承者として、鎖国にこだわらざるを得ないところがありました。重商政策より重農政策という古典的な政策です。それに対して、非常に斬新で革新的な重商政策と開国政策へ舵を切るといった時代の要請に出現したのが田沼だったのでしょう。

―― ものすごく大きな時代の変わり目ですね。

山内 その変わり目を理解したことが大きいですね。

―― 守旧派が数多くいる中で、時代の変わり目を理解したという意味では、すごい人ですね。

山内 それは彼の人間関係の広さ、幅の広さ、交友範囲の広さにあるのだと思います。

 田沼は自身が身分の低い下級武士です。といっても紀州の直臣であり、かつ、やがて徳川の直参になっていく家柄です。そして父親が吉宗の側に仕えていく。その子ども(いわゆる2代目)になるわけです。しかし門地の高さという点では、酒井、本多、井伊、榊原、大久保等々から比べれば及びません。

 老中を務められる家柄ではなかったけれども、そうであるがゆえに、政策、発想、ビジョンという点で囚われないものを持っていた。囚われないものを持っていた中で、彼のいろいろな発想や交友範囲が広がっていった。ここから、平賀源内などの人間を使うといった...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件
チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響
東秀敏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保