徳川将軍と江戸幕府~家重、家治、家斉編
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平賀源内の登用や重商政策で時流を捉えた田沼意次の不運
徳川将軍と江戸幕府~家重、家治、家斉編(4)田沼意次の重商政策と不運
10代将軍・徳川家治に仕えた田沼意次は、重商政策と開国政策を進めるなど時代の変化を捉えた斬新で革新的な頭脳の持ち主だった。にもかかわらず、彼の評価はあまり良いとはいえない。それは優秀なビジョンをもちながらも、タイミングに恵まれなかったからだった。その象徴的な出来事が印旛沼の干拓事業で起こっている。(全5話中4話) ※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:8分20秒
収録日:2020年12月14日
追加日:2022年2月5日
≪全文≫

●時代の変化を捉えていた田沼意次


山内 それから、江戸が大きくなっていったときに、江戸という都市というものの繁栄や生産、あるいは税収をどのようにしていくか。つまり、商人に対して重農政策ではなく重商政策を取り、都市の商人や消費者をいかに新しい生産と消費のシステムに入れていくか。そして、そこから幕府が税を吸収していくか。このような時代に入ってきたことを、幕府の新しいビジョンとして考えなければいけない時代に来ました。

 その結果として、徳川家治、田沼意次は自ずとコンビとなって、互いに必要としたのです。

 この関連でいえば、重商政策の非常に大きな観点は、やはり国を開くということです。折からロシアの進出が目立ち、ロシア問題をどう処理するかということが、田沼の頃から江戸幕府の大きな政治課題になってきました。これは松平定信にとっても大きな問題になります。

 簡単にいうと、田沼は国を開く開国政策を採ろうとしました。定信は開国を胸に秘めながらも、わが国の門閥政治家、将軍の一番オーソドックスな政策の継承者として、鎖国にこだわらざるを得ないところがありました。重商政策より重農政策という古典的な政策です。それに対して、非常に斬新で革新的な重商政策と開国政策へ舵を切るといった時代の要請に出現したのが田沼だったのでしょう。

―― ものすごく大きな時代の変わり目ですね。

山内 その変わり目を理解したことが大きいですね。

―― 守旧派が数多くいる中で、時代の変わり目を理解したという意味では、すごい人ですね。

山内 それは彼の人間関係の広さ、幅の広さ、交友範囲の広さにあるのだと思います。

 田沼は自身が身分の低い下級武士です。といっても紀州の直臣であり、かつ、やがて徳川の直参になっていく家柄です。そして父親が吉宗の側に仕えていく。その子ども(いわゆる2代目)になるわけです。しかし門地の高さという点では、酒井、本多、井伊、榊原、大久保等々から比べれば及びません。

 老中を務められる家柄ではなかったけれども、そうであるがゆえに、政策、発想、ビジョンという点で囚われないものを持っていた。囚われないものを持っていた中で、彼のいろいろな発想や交友範囲が広がっていった。ここから、平賀源内などの人間を使うといった...

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