田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜ悪人と評価された?田沼意次の謎とその経済政策を追う
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(3)田沼意次の5大政策
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
江戸経済の発展に伴い、貨幣供給の調整や産業振興が求められる中、田沼意次はどのような施策を打ち出し、実行していったのか。「幕府税収をいかに増やすか」に焦点化した意次の5つの政策を解説する。また、彼の人物像や評価についても、周囲の声とともにさらに掘り下げる。(全6話中第3話)
時間:12分16秒
収録日:2025年1月28日
追加日:2025年6月13日
≪全文≫

●江戸経済の変化と通貨問題


 さて、こうした時代背景を見てまいりましたが、これらをおさらいしつつ、田沼意次の政策を見ていきたいと思います。

 まず時代背景ですが、これまで見たように、江戸開府以来、人口、耕作地は拡大していましたが、その後耕作地、人口ともに頭打ちになり、生産性向上が鍵になってきます。かかる中で、米以外の農産物・工産物の生産が拡大し、今でいう各地の名産品が誕生し始めます。また、地方でも中核都市が生まれる中、地方同士の流通がはじまり大坂一極集中に変化が生じます。

 こうした中、意次自身も美濃郡上一揆の解決に参加し、年貢中心の財政基盤の危うさを感じ取るような経験もしていました。また、江戸周辺に農産物生産拠点が生まれ、すでに大都市になっていた江戸とその周辺は、単なる消費地から、生産、流通、消費など川上から川下までの機能を備える一大経済圏になる様子も見て参りました。

 そして、このような経済発展に対し、金銀産出量の低下や銀の海外流出などにより貨幣の流通量が生産・物流量に追いつかない状況が生まれる中、リフレ政策、デフレ政策が繰り返されてしまうのですが、田沼時代の前あたりからようやく、経済の発展に即した通貨供給が必要との認識が共有され始めます。また、江戸の商業発展により、大坂・江戸で異なっていた通貨の基準を統一する必要性も出てきました。


●田沼意次の5大政策を振り返る


 こうした時代背景の中、意次はどのような政策を行ったのでしょうか。

 真ん中囲みで主に5つの政策について、現代風の表現に置き換えて述べていますが、実はこれらの共通点は、幕府税収をいかに増やすかという点です。そういう観点から見て頂きたいと思います。

 まず上から産業政策です。これは年貢以外の税収を確保すべく行ったといってもいいと思いますが、これまでも見たように、米以外の農産物、工産物の生産を支援し、商流・物流を再整備、そして物流の量、価格を調査するなど、モノの流れを把握し、どのくらいの上納金を確保できるのか、計算ができるようにしたのだと思われます。

 次は通貨制度改革です。先ほど申し上げたように、生産・物流の増加に沿った通貨供給が大切なことは認識され始めていましたが、意次が取り組んだのは、さらに進んで東西の通貨統合です。発展した江戸...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ