田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
荻原重秀と大岡越前のリフレ政策…最適な通貨量と経済発展
田沼意次の革新力~産業・流通・貨幣経済(4)田沼意次の評価と具体的政策
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
田沼意次は、全方位に向けた気配り、心配りを重んじ、また、金融や財政の大切さを強調していた。そんな田沼意次が、さまざまなブレインの声を集めつつ、進めていこうとした政策とは何だろうか。そのことを見ていきつつ、田沼時代の金融政策の背景となる荻原重秀(徳川綱吉の時代)と大岡越前守忠相(ただすけ。徳川吉宗の時代)のリフレ政策を見ていく。課題は、経済の発展と通貨供給量のバランスであった。江戸の経済官僚たちは、試行錯誤しながら、採るべき政策を見出すべく挑みつづけていた。(全6話中第4話)
時間:9分43秒
収録日:2025年1月28日
追加日:2025年6月20日
≪全文≫

●心配りと金融を重んじていた田沼


 さて、次は田沼意次自身が書いたといわれるもので、かろうじて残っている「田沼意次遺訓」から人物像を見ていきます。

 これは第1条から7条にわたり、特に7条では財政のことについて触れ、別紙もつくって詳細に述べています。

 全体的には、おおむね主君や親、親族、家中の者や他の偉い幕閣への心配りについて述べているのですが、特に注目すべきは、全方位に向けた気配り、心配りの大切さを述べていることです。

 また、3条では、身分にかかわらず接することの大切について述べており、さらには5条にもあるように武芸だけでなく遊芸への理解などがあることも特徴です。そして、7条にもあるように、特に財政については、臨時出費に備えた心掛け、金利の水準にも言及しつつ、借金を重ねると返済が雪だるま式に増えていく仕組みについて述べています。よほど金融・財政について一族に考え方を伝えておきたかったのでしょう。


●老中は「会いにいける殿様」だった


 また、下段で老中の仕事の一部を示していますが、老中というのは、実は「会いにいける殿様」だったのです。「対客日」などといわれるもので、月番の交代制で、月に何度か朝6時から登城時間の10時まで、大名から旗本、商人・職人の陳情・挨拶を受ける日が設定されていました。

 もっとも、誰に会うかどうかは各老中次第だったと思われますので、全ての老中に庶民が会いにいけるわけではなかったと思いますが、意次は上記遺訓にも残しているように身分の差別なく接する人だったので、門前には朝早くから行列ができていたといわれています。

 なにか一昔前に目白の田中(角栄)邸に陳情者が列をなしていたのを思い出します。おそらくこういったことも、賄賂政治家のレッテルが貼られるようになった要因の一つではないかと思いますが、当時こうしたことは、範囲や程度の差こそあれ、制度上、老中がやることとして定められていたものでした。

 また、アイデアマン意次のブレインは誰だったのかというと、誰か海外事情など最先端の情報に通じた優秀なブレインがいないとこれだけのことを実行するのは難しいと感じますが、著名な学者などは特定できず、彼が用いた人々は、当初はあまり身分の高くない人が多かったように思います。

 下にそういった人々の例を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹