コロナ禍で揺れる世界経済の行方
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コロナ禍で予測される世界経済の「三つの代替シナリオ」
コロナ禍で揺れる世界経済の行方(8)IMFの経済予測
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
IMFは、「世界経済見通し」として通常は4月と10月に中期的な予測を発表し、1月と7月にアップデートしている。今回、アップデートは6月に前倒しになっているが、ここでは4月の見通しに基づいて、その意図を考えている。なお、金融と財政についての詳細な分析も参考とされたい。(全9話中第8話)
時間:13分26秒
収録日:2020年6月15日
追加日:2020年7月14日
≪全文≫

●IMFの「楽観的」予測に基づく世界のGDP推移


 ここまでの講義では、いろいろな理論や経済による対応、政策の動きなど、世界主要国の経験したこの半年間の経緯を見てきました。それらを踏まえた上で、IMFによる世界経済予測を見ていきましょう。

 IMFの調査分析能力は非常に高く、信頼性も高いのですが、この時期にも今年と世界の世界経済予測を、国別と世界全体ということで、見事に行っています。それが4月13日に発表された“World Economic Outlook(WEO: 世界経済予測)"です。今回は、この内容を簡単に振り返ってみたいと思います。

 この予測では「基本シナリオ(ベースライン)」が描かれています。どういうものかというと、「2020年の前半、世界中はコロナパンデミックに打撃を受けたが、後半になると収束するだろう」ということで、ある意味で楽観シナリオといえそうです。

 表1(「世界経済成長率予測IMF<2020年4月>)を見ていただくと分かるように、一番上の世界全体のGDPについては、2019年実績が2.9パーセント、2020年はマイナス3.0パーセントとなるものの、2021年はV字回復を遂げて5.8パーセントとしています。これは楽観シナリオに立った予測です(※その後、6月25日の発表では2020年-マイナス4.9パーセント、2021年5.4パーセントに下方修正)。

 アメリカを見ると、2020年がマイナス5.9パーセントで、2021年がプラス4.7パーセント。日本は2020年がマイナス5.2パーセントで2021年が3.0パーセント。惨憺たる状況からの回復が示されていますが、これはかなりの楽観が含まれています。各国から基金を集めているIMFとして、まさか世界が崩壊するというようなことはいえないからでしょう。


●「三つの代替シナリオ」に基づく世界の経済


 しかしIMFの内部にいる人に聞くと、もっと率直なことはオルタナティブとして、これに代わるシナリオを三つ描いているのだといいます。

 一つ目の代替シナリオは、感染が2020年後半に収束せず、感染収束にかかる時間を1.5倍と見積もるものです。2020年いっぱい、苦難が続くということになります。この場合、基本シナリオに比べて2020年にマイナス3パーセントの下振れが起こるので、世界平均ではマイナス6パーセント、日本ではマイナス8~9パーセントになると予測できます。

 次のシナリオは、来年第二波が発生する...

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