コロナ禍で揺れる世界経済の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
10年かけても復旧が困難な「コロナ不況」の世界的実態
コロナ禍で揺れる世界経済の行方(3)世界のジレンマ
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
コロナ抑制策による経済的影響はどれほどなのか。アメリカは、10年かけても復旧が困難な程度の不況に陥ったと言われる。ユーロ圏の成長率は7.7パーセント減り、加盟全27カ国が軒並みマイナス成長、アジア諸国ではGDPの9.7パーセントが失われたと報告している。各国は競うように財政支出に走るが、その将来は。(全9話中第3話)
時間:11分57秒
収録日:2020年6月15日
追加日:2020年7月8日
≪全文≫

●ソーシャル・ディスタンシングがもたらすもの


 前回まで理論的な振り返りを行ってきましたが、感染抑制策は「ソーシャル・ディスタンシング」です。人に会うな、会話をするな、食事を一緒にするな、会議をするな、旅行するな、などということで、とんでもないことですが、そのようにして外出規制を行います。また、外出規制の向こう側にある商店に対しては休業要請、場合によっては指令を行います。それでもうまくいかなければ、都市全体を封鎖する。移動は規制する。そういう一連のことを、各国が全部行っているわけです。

 外出規制や休業要請の結果、どういうことが起きるかというと、消費が激減します。サービスの売り上げが激減します。利益がなくなります。そうすると、雇用を減らさなければいけない。給料を減らさなければいけない。失業が増える。全部、実際に起きていることです。

 都市封鎖を行うと、企業活動が阻害されます。売り上げが激減します。雇用が減って失業が増えます。

 移動規制すると何が起きるかというと、都市の交通産業、さらに自動車産業、ついで観光が大打撃を受けます。特に国際移動規制は国際観光が駄目になりますし、航空会社が非常な打撃を受けます。こういうことなので、皆さんと一緒に、実際どういうことが起きたのかをコロナ抑制策の経済的影響としてザッと見ていきたいと思います。


●恐るべき「コロナ不況」の世界的実態


 まず、何度もくりかえしてきた「雇用機会」の喪失、失業増加についてです。例えば、世界最大の国アメリカを例に取ると、3月時点の失業率が4.4パーセントだったのに対し、4月には14.7パーセント、5月には20パーセントを超えるだろうというのが、もっぱらの予測でした。20パーセントというのは、1930年の大恐慌の水準です。ところが5月の数字は、予測値の20パーセントにはならずに何と13.3パーセントと4月より盛り返しました。これは、なぜなのかが大議論になっています。

 アメリカはレイオフの国ですから、失業が非常に出やすいのですが、日本のやり方にならいPPP(Paycheck Protection Program)という雇用調整給付金のようなものをつくっていました。それによる補助金が出るため、中小企業が解雇しなかったということがあるかもしれません。また、5月に少し休業の解除を行ったことも要因の一つといえるかもしれません。とにかく、一番失業の多い...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留