コロナ禍で揺れる世界経済の行方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
延期後に開催された中国「全人代」で起きた想定外の事態
コロナ禍で揺れる世界経済の行方(4)中国では何が起きていたのか
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
新型コロナウイルスの感染を振り返る発端は、2019年末に新型肺炎患者の出現していた中国・武漢市である。当初「原因不明」とされた新型肺炎に対して中国はどう対応し、この半年間でシステムをつくりあげたか。渦中から明らかになった中国の強みと弱点の双方を検証する。(全9話中第4話)
時間:8分56秒
収録日:2020年6月15日
追加日:2020年7月8日
≪全文≫

●世界各国の感染と抑制を振り返る


 今回からの講義では、これまで申し上げてきたことに対して、世界各国がどういう取り組みでこなしてきたのかを振り返ってみたいと思います。

 世界各国の姿を累積感染者の対数表示で見ると、図7(「世界諸国のCV累積感染者数の推移:対数表示」)のようになります。

 ここで、いくつかのパターンが識別できるように思いますが、アメリカはもう突出してしまっているので、ほとんど論外になります。ヨーロッパの国々はひとかたまりになっていて、だいたい似たような感じです。2月後半から3月にかけて感染爆発が起きたけれども、少しずつ少しずつ終息している。中国は最初に感染数が爆発的に増えましたが、2月の後半から見事に増えていないため、グラフでは横一線を示しています。

 アジア諸国はなかなか賢い対応をして、韓国は最初は感染が増えたけれども優等生だといわれている。シンガポールは、国は小さい割に見事に抑えていたのが、最近感染者数が増えていますが、これにはまた特別な事情があります。日本は、これまでのところ世界の中では比較的優等生ですが、今後どうなるのかという問題があります。


●武漢での初動ミスと李文亮事件


 さて、中国について少し見ていきたいと思うのですが、中国では2019年の12月末に武漢で新型肺炎患者が出現したということです。ところが、これは中国の人たちも認めていることですが、武漢の政府は最初の2~3週間で大変な失敗を犯してしまったと言われます。つまり、市民への説明もちゃんとせず、その結果、感染爆発を招いてしまった。そのため、武漢政府の責任者は責任を問われて解雇されています。

 李文亮という医師の事件は、中国でも世界でも非常に有名になりました。この人は眼科医なのですが、「病院でSARSの感染者が出た」「コロナウイルスの感染が確認された」と友人にアプリで伝えたらしいです。中国の公安は情報管理が徹底していますから、呼び出され、でたらめなことを言うものではないといわれ、処分になります。

 その後、彼はコロナウイルスに感染してしまい、隔離病棟で人工呼吸器をつけて大変だったのですが、ネット上で声を出し続けた。「健全な社会は1種類の声しかないということであってはならない」という共産党政府への批判を発信し続けて、2月7日に亡くなってしまいま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄