コロナ禍で揺れる世界経済の行方
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
不況を深化させないために打つべき三つの経済政策
第2話へ進む
世界経済はどうなってしまうのか、最新の情勢分析と展望
コロナ禍で揺れる世界経済の行方(1)世界の感染状況
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2019年12月以降、中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で全世界に広がった新型コロナウイルス感染症。パンデミックとなった原因はグローバリズムにより世界が狭くなったことにあるが、懸念されるのは世界経済の行方だ。果たして、これからどのような危機がやってくるのか。IMFの最新分析などをふまえ、詳細に分析。今後の課題と、コロナ禍を克服できる経済のあり方を考える。(全9話中第1話)
時間:10分09秒
収録日:2020年6月15日
追加日:2020年7月8日
≪全文≫

●感染抑制と経済活動維持のトレードオフ


 島田晴雄です。よろしくお願いします。今日は皆さんと一緒にコロナウイルスの感染問題と世界経済とがどう関わっているかを全般的に見ようということで、これから時間をいただいていきたいと思います。

 コロナウイルスに打ち勝つワクチンが開発されるかどうかについては、まだ相当時間がかかると思います。ワクチンが開発されないと、人々は感染を避けようとする。そのためにはお互い同士、至近距離に近づかない。「ソーシャル・ディスタンシング」といわれていますが、これを行うための一番極端な方法は都市封鎖(ロックダウン)です。いわば「みんな、動くな」ということです。ただ、人々が動いたり、接触したりすることは経済活動そのものなので、こうした政策は経済活動を止めることになるわけです。

 今、世界が一番悩んでいるのは、どの程度まで経済活動をしながら感染を回避することができるか、という問題だと思います。「感染を抑制する」ことと「経済活動を維持する」ことは二律背反で、トレードオフの関係にあるからです。

 感染を抑制するということは、人に会わない、移動しないということですから、経済そのものが駄目になってしまう。経済を維持する活動をさせると、感染がどっと出てくる可能性がある。今、世界中の国は、そのことにどうバランスを取るかということで、懸命に試行錯誤しています。こういう現状について、これから皆さんと一緒に総合的に勉強しようということです。


●世界諸国の感染状況を振り返る


 最初に考えたいのは、今申し上げたトレードオフ関係が、理論的にはどういうことなのかという点です。その理論的な整理に入る前に、まずは、これまでウイルスの感染が地球上を大変な混乱に巻き込んできた、この半年ほどをざっと簡単に振り返ってみたいと思います。

 図1(「世界諸国の感染状況:感染増大と収束」)を見ていただくと、感染が始まってから各国ではどのぐらい被害を受けたかということが、100人以上の感染が出たところを起点にして並べてあります。

 時系列的に過去を振り返ってみると、2019年の12月末に、中国の武漢市で最初の感染が確認されました。そこから中国では感染者8万人という爆発が起きたのですが、これを非常に見事に1カ月ぐらいで終息させています。

 2020年2...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ケルト神話の基本を知る(1)ケルト地域と3つの神話群
ケルト神話とは…ダーナ神族、アルスター神話、フィアナ神話
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
東大ハチ公物語―人と犬の関係(1)上野英三郎博士とハチ
忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論
一ノ瀬正樹
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫