コロナ禍で揺れる世界経済の行方
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
不況を深化させないために打つべき三つの経済政策
コロナ禍で揺れる世界経済の行方(2)経済政策と金融市場
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
コロナ不況においては、「感染抑制」と「市場経済の維持」のトレードオフ関係がジレンマとなっている。より経済学的にいうなら、経済循環の活動を阻害するディスラプションとして、新型コロナのウイルスは働いているのだ。今回の講義では不況を深化させない三つの経済政策と、金融市場の動きを探っていく。(全9話中第2話)
時間:12分47秒
収録日:2020年6月15日
追加日:2020年7月8日
≪全文≫

●経済循環を逆行させるディスラプションとは?


 それでは、図5(「経済循環の模式図」)を見ながら経済循環についてお話ししましょう。これは経済学を勉強する皆さんが最初の講義で習うことです。経済には企業と家計があり、さらに政府があって、お互いに財とサービスを交換しているわけです。家計は企業に対して労働を供給して、給料をもらう。家計は輸入品を使い、輸入代金を払う。それで、企業と世界はつながっていて、サプライチェーンというものでつながっている。

 こういう構造になっているのですが、今起きているコロナウイルス不況で何が起きているかというと、各主体間のつながりが、「ディスラプション(disruption: 活動阻害)」を受けて、分断されたり、壊されたりしているのです。

 主なディスラプションの例を赤い丸で描いていますが、×1では企業が不況になって倒産・破綻してしまう。そうすると何が起きるかというと、×2で解雇が起きて賃金が支払われない。それがまた波及して、企業は国内の場合、みんなお互いに部品を供給したり買ったりしていますからサプライチェーンでつながっているのですが、これがボロボロになってきます。

 そして、国内で金融危機が起きる。すると資金が供給されなかったりしますので、それが世界につながって国際サプライチェーンは分断されます。今、中国がコロナ不況に突入して、世界中に供給していた中国からの輸出がうまくいかなくなり、世界中の物価が上がったりしているのは、その例です。

 それから、国際需要が需要ショックを受けます。需要ショックというのは、人々がコロナ不況で働けなくなって、ステイホームして所得が減る。それよりもっと怖いのは、人々が先行き不安を抱くことです。相手は今まで見たことのないような怪物ですから、何が起きるのか分からなくて、縮み上がってしまうのです。そうすると、異様に需要が減ってきて、世界経済全体を狂わせる。そうした経済循環のネットワークの流れになる可能性があるのです。

 ですから、よく考えなければいけないのは、この経済循環のネットワークの流れが「ディスラプト(disrupt: 破壊、止まる)」されることです。順調に流れていれば、これはどんどん機能して付加価値を生み、好循環になるのですが、どこかで壊されると逆循環することになります。それがマイナス...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
ギリシア悲劇への誘い(7)ギリシア悲劇を論じた歴史
アリストテレス、ニーチェ…哲学者によるギリシア悲劇批評
納富信留
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
不便益システムデザインの魅力と可能性(2)不便がもたらす4つの益
写ルンです、おやつ300円まで…不便がもたらす益の数々
川上浩司