テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
テンミニッツTVは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
このエントリーをはてなブックマークに追加

「あまりに遅い…」浪費される時間に高まる東京都の危機感

徹底検証・日本のコロナ対策(4)国の対応と東京都とのバトル

島田晴雄
東京都公立大学法人理事長/テンミニッツTV副座長
情報・テキスト
2020年3月下旬から、東京での感染者数の拡大が、感染爆発を引き起こしてしまったニューヨークの状況を思わせるものになってきてしまった。危機感を募らせる東京都。だが、国の対策の動きはあまりに遅かった。新型コロナ問題を書き込んだ改正インフルエンザ対策特措法がようやく3月13日に成立し、各知事が法律にもとづいて制限要請や指示ができるようになる「緊急事態宣言」の発令が可能になった。しかし、安倍首相は発令を逡巡する。かくして国と都のバトルが始まるが、その間、貴重な時間が空費されてしまう…。
(本講義では、島田晴雄先生が作成されたレジュメ内容を本文として掲載いたします。そのため、一部、動画では触れられていない部分もありますが、資料としてご活用いただければ幸いです)(全9話中第4話)
時間:10:22
収録日:2020/05/19
追加日:2020/05/23
キーワード:
≪全文≫
[Ⅳ] 政策対応と問題点

《1.2020年3月下旬から、東京はじめ新規感染者増加が加速》
【小池都知事危機感あらわ】
◆3月下旬になって東京都の感染者増加がにわかに加速しはじめた。3月23日から25日の3日間で新規感染者が74人増え、東京都だけで210人になった。日本全体ではまだ1100人ほどだったので、東京の急増が目立った。
◆都知事は3月25日、都庁で緊急記者会見。「感染爆発になるかどうかの重大局面だ」。
◆3月21~23日は花見シーズン最中の三連休。自粛要請のなかでも人出が多く、気の緩み?
◆東京の3月下旬の感染者増の動きは、1カ月前のNYに酷似していた。NYはその後、急速に感染爆発が起きたので、知事はじめ東京都関係者には危機感が募った。


《2.学校休校と特措法》
【学校休校要請】
◆政府も新規感染者増加の傾向を警戒。安倍首相は2月27日に突然、新型ウイルス感染症対策本部で、全国の小中高、特別支援学校に臨時休校要請する考え表明。3月2日から春休みまでの期間。
◆荻生田光一文科相は、全国の学校を一斉休校させる環境整備を憂慮したが、安倍首相は決断。
◆クルーズ船対応まで前面にいた菅義偉官房長官に代わって、今井尚哉首相補佐官(経産省出身)と、北村滋国家安全保障局長が安倍首相のブレーンとなったとの観測がもっぱら。

【中国・韓国からの入国制限】
◆3月5日、北村氏はそれまでの湖北省からの入国制限を拡大し、中国韓国からの入国者を2週間待機させ、ビザ効力も停止する措置を実施する主導的役割。

【改正特措法成立】
◆3月13日、インフルエンザ対策特措法の対象に新型コロナ感染症を追加する改正法が成立。感染が急速に拡大した場合、首相は「緊急事態宣言」発令可能。知事は宣言を受け、法律にもとづいた外出自粛要請や学校などの使用制限要請・指示ができることになる。


《3.緊急事態宣言》
【緊急事態宣言発令】
◆安倍首相は4月7日夕方、7都道府県に対し、緊急事態宣言を発令した。
◆小池東京都知事は3月25日以降の新規感染者数のうなぎ登りの増加傾向に危機感を募らせており、知事に外出自粛、商業娯楽施設などの休業要請、医療施設整備のための建物・土地収用などについて法的権限を付与する緊急事態宣言の1日も早い発令を待ち望んでいたが、安倍首相は発令を逡巡し、3週間近くも貴重な時間を浪費した。
◆安倍首相はようやく4月5日に宣言の検討を専門家と対策会議に諮問し、4月7日18時の発令となったが、首相の意思決定の遅さに国民の不満と不評が高まった。

【緊急事態宣言は無内容?】
◆安倍首相は”命を守る緊急事態宣言”と自画自賛したが、欧米、アジアなどの海外メディアは一斉にその中身を批判した。
◆批判の焦点は、lockdown(都市封鎖)なし、交通規制なし、外出は自粛を要請するのみで罰則なし、生活必需品の販売と購買は自由というような宣言で果たしてSocial distancing によって感染抑制の実効が上がるのか? に向けられていた。


《4.休業要請をめぐる東京都と国のバトル》
【緊急事態宣言を想定した東京都の実行案】
◆安倍政権の緊急事態宣言発令があまりに遅れるのに危機感を抱いた小池都知事率いる東京都の対策本部は、国の緊急事態宣言が発令されたとの想定の下に、東京都としての実行案を策定していた。
◆その骨子は、人々への外出自粛要請に照応して、外出する人々が向かう先の商業や娯楽施設、不急の生活サービス、大学など公共施設などに広く網をかけ、人々が集まる場所に休業を要請し、外出自粛を徹底させようというもの。
◆バー、ライブハウス、居酒屋など、生活必需品を売るスーパーなど以外の百貨店やホームセンターなどの商業施設、ほとんど全ての娯楽施設、スポーツ施設やジム、医療施設以外の美容、理容など生活サービス、大学・保育園など教育施設、など広範に及ぶ。
◆この実行案を4月7日の安倍首相の緊急事態宣言と同時に発表すると予定。
◆都側は感染爆発が秒読みと切迫感を強めており、小池都知事は「危機管理の要諦は最初に大きく構えること」と主張していた。

【国の反発と抑制策】
◆都は宣言発令前の4月6日、休業リスト素案を国に示し、発令直後から実施しようとした。
◆しかし国は、特措法45条の施行令に規定される施設以外を含むことを問題視。居酒屋と理髪店。「それらを対象にしたら訴訟リスクを抱えるのは都知事ですよ」と警告。
◆国はリストに含むより午後8時の閉店をお願いすれば、休業要請でないので法律はクリアできると代案を提示。都は時間短縮の代わりに居酒屋など営業継続を受け入れ。

【2週間も待てない】
◆国は緊急事態宣言発令後、2週間ほど外出自粛要請の効果を見極め、45条にもとづく休業要請を出すか検討する方針だった。
◆これに小池知事は「2週間も待てない」と反発。都が想定していたのは、特措法24条の知事の権限にもとづく...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。