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感染者数・死亡者数の国際比較で見えてくるものは何か

徹底検証・日本のコロナ対策(1)日本型モデル、世界との比較

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
新型コロナ対策について、日本は世界の他の国々とは明確に異なる対策を取った。島田晴雄先生が、これまでの日本の手法を徹底的に検証し、どこに問題があったか、可能性はどこにあるのかを解説するシリーズ講義。日本が世界と大きく異なったのは、諸外国で実施しているようなロックダウン(都市封鎖)や罰則を伴う外出規制などなしに対策を進めたことである。しかも検査数も最少レベル。世界からは「効果が上がるのか」と多くの批判と疑問が寄せられたが、現時点(2020年5月19日)では人口比で見た場合、感染拡大や死亡者数は世界と比較して最少レベルで推移させてきている。本講義では、その状況を客観的に分析していく。
(本講義では、島田晴雄先生が作成されたレジュメ内容を本文として掲載いたします。そのため、一部、動画では触れられていない部分もありますが、資料としてご活用いただければ幸いです)(全9話中第1話)
時間:15:19
収録日:2020/05/19
追加日:2020/05/23
≪全文≫
[Ⅰ] はじめに

【日本、当初は緩やかな感染増加】
◆新型コロナウイルス感染が世界で猛威をふるっている。
◆日本は世界諸国のなかでは、感染が始まった2月初めから3月半ばまでは、比較的緩やかな増加に止まっていた。

【3月下旬から感染加速の兆し】
◆しかし、3月下旬から東京を中心に感染者の増加がにわかに加速する気配を見せはじめた。
◆小池百合子都知事をはじめ東京都の関係者は、この傾向がオーバーシュート(感染爆発)に発展するのではないかとの危機感を強め、人々に危機感を訴えるとともに、感染急増を抑えるために人々に外出の自粛要請と人々が集まる商業施設や娯楽施設などの休業要請を含む政策的対応を志向した。

【政府、緊急事態宣言発令、緊急経済対策発表】
◆感染拡大は他の府県でも加速しはじめたので、危機感は広く共有されるようになり、こうした情勢を受けて、安倍政権も遅ればせながら、4月7日に、緊急事態宣言を発令し、同時に、緊急経済対策を発表した。
◆緊急事態宣言は、地方自治体の首長に、人々に外出自粛を、また人々が集まる大規模イベントの中止や商業・娯楽施設の休業要請などに法的根拠を付与。

【強制も罰則も補償もない日本型対応】
◆緊急事態宣言発令を受けて東京をはじめ地方自治体は、人々に外出の自粛を、レストランや商業施設に休業を要請した。
◆他方、諸外国で実施しているようなlockdown(都市封鎖)や罰則をともなう外出規制はなく、交通機関は通常通り運行、生活必需品の買い物は規制なしという内容。
◆日本のこうした緊急事態宣言の具体的内容を見て、欧州や韓国など諸外国のメディアから「日本の緊急事態宣言は形ばかりで内容はなく、効果は上がるのか」と多くの批判と疑問が寄せられた。
◆また、休業するレストランや商業施設などに対して国は休業補償をせず、東京都など若干の自治体が少額の協力金を支払うにとどまった。

【日本型モデルは機能するのか:シミュレーション分析】
◆これまでは検査も医療防具も最少ながら諸外国に比べ、感染の拡大は最少に止められてきた日本型のやり方が、これからも通用するのか、そして感染を収束させることができるのか。最近の感染者数の急速な増大傾向をふまえると、予断は許さない。
◆また、人々の接触を抑制する感染抑制策が経済にもたらす影響、特に世界全体の経済が収縮するなかで、日本経済にどのような影響が及ぶ...
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