徹底検証・日本のコロナ対策
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ベッド数は多くても医師数などが圧倒的に不足している日本
徹底検証・日本のコロナ対策(6)医療崩壊は防げるか
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
イタリアなど各国の事例から、医療崩壊の危険性が大いに指摘された。医療崩壊を起こしてしまうと、死亡率は爆発的に高まってしまうからだ。イタリアはベッド数不足で医療崩壊を引き起こしてしまったが、日本は人口1000人あたりのベッド数そのものは多かった。しかし圧倒的に足りないのが医師の数など医療サービスなのである。なぜ日本は、ベッド数は多いのに医師数が少ないのか。医師数が少ない結果、今般のコロナ禍でどのようなことが起きたのか。さらに「接触8割削減」や「Stay Home習慣」とはいかなるものだったのか。振り返って検証する。
(本講義では、島田晴雄先生が作成されたレジュメ内容を本文として掲載いたします。そのため、一部、動画では触れられていない部分もありますが、資料としてご活用いただければ幸いです)(全9話中第6話)
時間:9分42秒
収録日:2020年5月19日
追加日:2020年5月23日
≪全文≫
《6.医療崩壊は防げるか》
【はじまった医療崩壊】
◆感染者の増加ペースが高まるにつれて、当初、「感染症法」(感染症の予防及感染症の患者に対する医療に関する法律、1999年4月1日施行)の規定で、感染者は軽症であっても入院させねばならなかったため、医療崩壊が大いに懸念された。
◆それでなくても病院は通常の多くの患者に対する医療提供で手一杯の状況であるため、医療の供給能力を超える“医療崩壊”現象が始まっている。医師、看護師、コメディカルスタッフの能力の限界が多くの医療施設で指摘されている。
◆日本医師会は4月1日、「医療危機的状況宣言」を発出。

【ベッド数は多くても医療サービスが不足】
◆日本の病院はベッド数そのものは多い。イタリアのようにベッド数不足で医療崩壊が起きる状況ではない。
◆人口1000人あたりのベッド数は、たとえばドイツ8.2、フランス6.2、イギリス7.1、アメリカは少なく2.9であるのに対して、日本は13.2(OECD調査、2016年)。
◆足りないのは医師。ベッド100あたりの医師数は、ドイツ49.9、フランス53.8、イギリス102.4、アメリカ88.6に比べ、日本は17.9と極端に少ない。
◆日本は1960年に国民皆医療、皆保険制度を実現したが、それを本当に担う医療サービスの体力がなく、いたずらにベッド数を増やして入院日数を伸ばすなかで、なんとか対応してきた経緯がある。
◆「日本は地域医療構想見直しで、病床の機能区分で過剰を抑制する計画をつくる段階でまだ動いていなかったので、なんとかなった」(横倉義武 日本医師会会長)。
◆足りないのは病床ではなく、医師、看護師、医療スタッフなど人材。彼らの過酷な勤務状態が、医療崩壊につながる。

【外電記者(Robin Harding)による欠陥指摘(『Financial Times』2020年5月7日)】
◆コロナ感染疑いの患者、引受病院探すのに数時間、40km。
◆多くの病院、設備や資材が整わないので、特にICUに感染患者引き受けに二の足。
◆感染患者、退院まで2度陰性検査結果必要、1カ月の在院も。
◆日本はベッド数は多いのに、その活用は極めて非効率。事実上の医療崩壊現象。

【防護具、機材、薬剤の不足、過少な感染テスト】
◆院内感染が各所で起きているが、感染防護マスク、アイソレーションガウン、フェースシールドなどの器材や薬剤不足も一因。これらの大半は中国など海外に依存していた。
◆PCRなどの感染テストが、韓国やド...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用
図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
デカルトの感情論に学ぶ(2)感情をコントロールするには
恐怖をなくす方法と感情のコントロール…デカルトの考え方
津崎良典
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(5)徳は孤ならず
敬天愛人…一人ひとりを大切にしながら宇宙を相手に生きる
田口佳史
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通