徹底検証・日本のコロナ対策
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
現場は最優秀だが政策の過ちで「精神論の罠」に陥る危険も
徹底検証・日本のコロナ対策(9)日本型モデルは成功するか?
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
最終話では、あらためて第7話、第8話で見てきた経済シミュレーションを総括する。その違いは一目瞭然である。確かに、国民の理解、自覚、行動に期待し、最少の私権制限で対応してきた「日本型モデル」は、世界でも独特のものであった。そして、それで感染率や死亡率の拡大を最少に抑え込んできた日本国民や医療体制、保健所体制など、現場のモラルと頑張りは極めて優秀だったと評価できる。しかし、このままもし第2波、第3波が来たら、乗り切れるだろうか。いまは「有事」であるとの思い切った政策こそが必要であろう。強力な政策支援があれば、日本型モデルは世界の貴重なモデルになりうる。だが、政策が失敗したら「精神論の罠」に陥ってしまう危険性もあるのである。
(本講義では、島田晴雄先生が作成されたレジュメ内容を本文として掲載いたします。そのため、一部、動画では触れられていない部分もありますが、資料としてご活用いただければ幸いです)(全9話中第9話)
時間:3分59秒
収録日:2020年5月19日
追加日:2020年5月23日
≪全文≫
《3.感染抑制策と政策対応の経済効果の総合評価》
◆「シナリオA」は逐次・小出しの政策対応の結果、直接の経済コストは20.5兆円(2020年4月7日)。緊急経済対策の財政コストのみ勘案だが、ウイルス感染を早期に収束できないためにGDP成長率は2020年に▲15.0%、2021年も▲10.0%となった。
◆「シナリオB」では、休業補償など大型対策を早期に徹底的に実施した結果、直接コストは53.0兆円と多額にのぼり、その結果もあってGDP成長率は2020年に▲20%だったが、2021年には感染収束と未来志向の経済戦略の効果もあってGDP成長率は+15%とV字型回復を達成。
◆GDPを総額580兆円前後と想定すると、2020年と2021年の2年間で、「シナリオB」は「シナリオA」に比べ、58兆円ほど多くなる。小出し逐次対応の政策は、短期には経済コストが節約されるように見えるが、2年間では、早期に大型対策を徹底的に執行する方がV字型回復の効果で経済コスト総額は少なくて済む。
◆そして何よりも重要なことは、小出し逐次政策で感染を早期に収束できなかった場合、中小零細企業などの経済基盤が劣化し、経済全体の活力低下の後遺症が残ることである。


[Ⅵ] 日本型モデルは有効か
【日本型モデル:国民の理解、自覚、行動に期待?】
◆世界の主要なモデルには、中国モデル、欧州モデル、アメリカモデル、アジアモデルなどがあるが、日本はそれらいずれとも異なる「日本モデル」ともいうべき特徴がある。
◆中国は共産党独裁の体制下、国家権力がしばしば私権を超越して徹底的な都市封鎖や外出禁止を強制し、また高度に浸透した情報化を活用して感染経路を究明し、感染拡大を短期で収束させた。
◆欧州諸国は都市封鎖や外出禁止をしたが、イタリアのように悲惨な医療崩壊もあり、人口のわりには大規模な感染爆発の犠牲を払って、ようやく規制解除に踏み出している。
◆アメリカは技術も資源も豊富な先進国だが、指導者の失政で世界最悪の被害を被っている。
◆韓国、シンガポール、台湾などはSARSなどの被害を教訓に感染抑制体制を高度に整備。
◆日本は、伝統的な感染対策で当初は拡大を抑制してきたが、感染拡大の加速に直面して、都市封鎖や外出規制も休業補償もせず、人々の理解と自粛と自主的な行動変化に期待して感染抑制をはかろうとする独特なモデル。

【日本型モデルを支える政策支援の強化】
◆日本型モデルは、強制も罰則もなく人々の理解...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(7)自分の人生のために
AI時代こそAIでなく「生きた学び」で自分の人生を膨らませる
橋爪大三郎
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(6)賃金の未来シナリオ
AIが人間の仕事を「完全代替」したらどうなる?…仕事と賃金の未来
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(8)アンコンシャスバイアス:前編
バイアスの罠…8割直観と思考の「エコ運転」の自覚が大事
青島未佳
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
「最高の睡眠」へ~知っておくべき睡眠常識(1)健康な睡眠のための方法
どうすれば「最高の睡眠」は実現するか…健康な睡眠とは?
西野精治