会計検査から見えてくる日本政治の実態
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マイナンバーが生かせない…「三層分離」という大変な問題
会計検査から見えてくる日本政治の実態(4)「給付金」の教訓
田中弥生(東京大学客員教授/元・会計検査院長)
コロナ禍で行われた一人あたり一律10万円の給付は記憶に新しいが、それ以降もさまざまな世帯を対象に、さまざまな給付金が支給された。しかし、給付金の実態を見ていくと、自治体の事務負担やその背景にあるワークフローの煩雑さなど、あまりにも多くの問題が浮上してくる。にもかかわらず、政治の側はロジスティックスを深く考えることなく、その時々の流れのなかで給付金を決定し、現場は常に翻弄されていく。では、行政をどのように変えていけばいいのか。マイナンバー制度や業務のデジタル化などの課題を解説する。(全4話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:17分28秒
収録日:2025年4月14日
追加日:2025年8月1日
≪全文≫

●「10万円給付」以降の給付金の実態


―― 続きまして。

田中 はい。トランプ関税問題で、いわゆる中小企業だとか、あるいは子育て世帯、低所得世帯、あるいは国民全般にどういう手当てをしたらいいのかという議論が政治の間でも頻繁にされていますし、それがまた報道されています。その中の選択肢の1つとして、「給付金」の話が盛り上がっています。実はこの給付金も教訓がたくさんあります。ぜひ皆さんに知っていただきたいことがあります。

 会計検査院では、令和2年から令和4年に配布された9種類の給付の全容を明らかにしました。皆さん、問答無用で1人あたり10万円の給付金を覚えていらっしゃいますか。

―― あったことだけは覚えていますね。

田中 あの後、また続いているのです。それが9種類あるのです。その金額が4兆円を超えていまして。この動向を調べようと思ったのが2024年の報告になります。

 この図です。これが9種類の給付金を示したものです。いわゆる子育て世帯向けの給付金、児童手当が対象になっているところです。そこの給付金もありますし、ひとり親世帯のための給付金、低所得世帯向けの給付金とか、いろいろな種類の、またいろいろな条件を持った世帯の方たちに配っています。金額もかなり幅がありまして、1万円から10万円ぐらいまで幅があるものです。

 会計検査院で調べたところ、その金額は予算としては5兆2000億円ですが、実際に給付金として国民に渡った額は4兆2700億円です。

―― ここも「配り切らなかった」ということになるわけですね。

田中 望まなかったところもあるでしょう。それから、あまり知られていないのですけれど、この給付金は9種類全てが臨時なのです。そして、実際に配る作業をしているのは自治体なのです。「基礎自治体」と呼ばれている市役所や区役所は国に代わって臨時に作業をしますから、国から事務費が手当てされています。それも合わせると4兆6000億円ぐらいになります。

―― なるほど。ここで見るとその事務費が1300億円かかっているということになるわけですよね。

田中 そうですね。それでも足りたのかなというところは、いろいろ課題はあるのですけれど。

―― なるほど。


●煩瑣な「申請勧奨...


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