クーデターが成功するかどうかは、鎮圧側とのせめぎ合いをどのように制するかが鍵を握っている。クーデターを仕掛ける国軍と、それを防ぐために策を講じる政府。その軍配を左右する条件や両陣の戦略、対策を具体的に解説する。(全6話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
クーデターの条件~台湾を事例に考える
軍の配置を見れば分かる!台湾のクーデター対策とは
クーデターの条件~台湾を事例に考える(2)クーデターの成功条件とリスク
政治と経済
上杉勇司(早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授/沖縄平和協力センター副理事長)
3.2・26事件の失敗に学ぶ!? クーデターを成功させるためには
2025年10月10日配信予定
4.タイトル未定
2025年10月11日配信予定
4.タイトル未定
2025年10月11日配信予定
5.タイトル未定
2025年10月17日配信予定
6.タイトル未定
2025年10月18日配信予定
時間:8分53秒
収録日:2025年7月23日
追加日:2025年10月5日
収録日:2025年7月23日
追加日:2025年10月5日
≪全文≫
●クーデターの成功条件とリスク
―― 次にクーデターの成功条件ですね。あと、どのようなリスクがあるかというお話に進んでまいりたいと思います。ここは先生、いかがでしょうか。
上杉 先ほどから何回か申し上げましたが、一撃で政権を奪取しないと、長引けば長引くほど失敗する可能性が高くなっていってしまいます。
もちろん、軍に対抗できる組織というのが国内にない場合もあるのですけれど、もし軍全体が支持していれば成功の可能性は非常に高くなります。なので、全世界で起きているクーデターの9割以上の事例で軍が関わっています。軍が関わらないとそもそもクーデターというのは成功しません。もちろん、軍が関わっていて、軍が全面的に支持している場合は無血クーデターという形で1発の銃も発せず、1人の死者も出さずにクーデターが成功する事例は多々あります。
もちろん、全部を自分たちの支持に収めることが難しいとしても、先ほど(第1話で)も少し申し上げましたが、多くの場合日和見主義的に、勝ち馬に乗ろうと、どちらが勝つか分からないから静観しておいて、勝ったほうに乗ろうと人間心理は働くので、とりあえず初動において鎮圧の側に回らないでくれと中立化ができるかどうかということが非常に重要になってきます。
3点目としては、民主主義では特にそうですけれど、民衆の支持、それからなぜ前の政権が倒されなくてはいけなくて、今の政権が樹立されるべきかという正統性を明らかにしておくということが重要になります。
ただ、もちろん、こういうものがあるといいですけれど、これがあったからといって完全に成功するとはいえません。むしろクーデターのリスクは、これをすることによって秩序が乱れて、第二、第三のクーデターが起きかねないということです。アフリカでもよく起きている事例としては、せっかく独裁政権を倒したけれど、その倒した新しい政権の能力が十分になく、また不満が高まって第二、第三になったり、あるいは倒そうとしたのだけれど倒せずに、政府系と反政府系の内戦に陥ってしまうというようなリスクが多々あります。
●クーデターを阻止するための国家の手段
―― 特に軍の支持のところで、先生がこの『クーデター―政権転覆のメカニズム』の中で書いていることで興味深かったのが、多くの独裁政権の場合というのは...
●クーデターの成功条件とリスク
―― 次にクーデターの成功条件ですね。あと、どのようなリスクがあるかというお話に進んでまいりたいと思います。ここは先生、いかがでしょうか。
上杉 先ほどから何回か申し上げましたが、一撃で政権を奪取しないと、長引けば長引くほど失敗する可能性が高くなっていってしまいます。
もちろん、軍に対抗できる組織というのが国内にない場合もあるのですけれど、もし軍全体が支持していれば成功の可能性は非常に高くなります。なので、全世界で起きているクーデターの9割以上の事例で軍が関わっています。軍が関わらないとそもそもクーデターというのは成功しません。もちろん、軍が関わっていて、軍が全面的に支持している場合は無血クーデターという形で1発の銃も発せず、1人の死者も出さずにクーデターが成功する事例は多々あります。
もちろん、全部を自分たちの支持に収めることが難しいとしても、先ほど(第1話で)も少し申し上げましたが、多くの場合日和見主義的に、勝ち馬に乗ろうと、どちらが勝つか分からないから静観しておいて、勝ったほうに乗ろうと人間心理は働くので、とりあえず初動において鎮圧の側に回らないでくれと中立化ができるかどうかということが非常に重要になってきます。
3点目としては、民主主義では特にそうですけれど、民衆の支持、それからなぜ前の政権が倒されなくてはいけなくて、今の政権が樹立されるべきかという正統性を明らかにしておくということが重要になります。
ただ、もちろん、こういうものがあるといいですけれど、これがあったからといって完全に成功するとはいえません。むしろクーデターのリスクは、これをすることによって秩序が乱れて、第二、第三のクーデターが起きかねないということです。アフリカでもよく起きている事例としては、せっかく独裁政権を倒したけれど、その倒した新しい政権の能力が十分になく、また不満が高まって第二、第三になったり、あるいは倒そうとしたのだけれど倒せずに、政府系と反政府系の内戦に陥ってしまうというようなリスクが多々あります。
●クーデターを阻止するための国家の手段
―― 特に軍の支持のところで、先生がこの『クーデター―政権転覆のメカニズム』の中で書いていることで興味深かったのが、多くの独裁政権の場合というのは...
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