クーデターの条件~台湾を事例に考える
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軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
上杉勇司(早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授/沖縄平和協力センター副理事長)
台湾でのクーデターを想定したとき、重要になるのがその成功後の民政移管である。それは民主主義を標榜する民進党の正統性を保つためであるが、それはいったいどのように果たされうるのか。一度は民主化に成功した李登輝政権時代の台湾から考える。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分09秒
収録日:2025年7月23日
追加日:2025年10月11日
≪全文≫

●なぜ民政移管が重要か


―― 先ほども先生がおっしゃいましたけれど、クーデターが成功したとしても、その後の民政転換、民主主義ということで民政移管の部分の話が重要なポイントになるのではないかということでした。なぜ民政移管なのかというところです。

上杉 クーデターを起こして軍事政権のままでいるということは、「なぜ中国になりたくないのか」「権威主義の下に行きたくない」「自由でいたい」「民主主義でいたい」という台湾のアイデンティティを考えると、長続きはできません。なので、民進党がもしクーデターを起こして、(つまり)軍とともにクーデターを起こす場合には速やかに民政移管をして、民主主義を取り戻すということを掲げないと、正統性が構築できないので、必要不可欠だと思います。それで、新憲法を制定、あるいは選挙による政権移譲をちゃんとやりますよということを明確に示すと思います。

 韓国も実は粛軍クーデターがあって、全斗煥と盧泰愚がクーデターを起こしました。それが1987年、民主化宣言をすることによって――もちろん人々の民主化の動きが周囲ではあったのですが――軍政から民政に移っていったというモデルがあるので、それを参考にしつつ、速やかに民政に移すということです。

 民政に移すときにいろいろな国で問題になるのは、権力を握った軍がその権力を手放したくないと思い、戒厳令を敷いて、彼らが独占的に権力を握ることになってしまうということなので、そこをさせないような取り組みが非常に重要になってくると思います。

 それから、国際社会の関与がここでは重要になってくるのかなと思います。台湾は日本と同じで国際社会の中でしか生きられないような状況にありますから、軍政が続く中で貿易も経済も立ち行かなくなってくるのではないでしょうか。そういう意味で、国際社会は十分プレッシャーをかけて、「早く民政移管をしなさい」ということを言えるのではないかと思います。

 それから今回、民主主義という正義を掲げたのだけれど、軍が決起して、選挙で選ばれた総統が倒されたということになった場合、二度とそういうような状況にならないような仕組みも新たに構築していく必要ができてくると思います。

 それでは、どうしたら軍のお偉いさんがクーデターなど起こそうと思わないで、そのまま余生を全うしてく...

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