経済と社会の本質を見抜く
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世界の超富裕層は日本の比ではない…国単位の政策の限界性
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インフレ激化の真実…デフレ脱却を困難にした日本の労働市場
経済と社会の本質を見抜く(1)世界的インフレと労働市場の影響
現在の経済、そして社会の本質を、どのように見抜いていけばいいのだろうか。最初に考えるのは、インフレについてである。可能性は低いが、インフレが激化する「ハイパー・インフレーション」が起こると、いったい社会はどうなるのか。また、コロナ以降、インフレを抑えようと思っても抑えにくくなっているアメリカと、インフレにしようと思ってもなかなかインフレにならなかった日本は真逆の経済状況になっているが、その理由は何か。着目すべきは労働市場で、そこから欧米と日本の違いが見えてくる。(全6話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:15分08秒
収録日:2023年8月9日
追加日:2023年10月29日
≪全文≫

●簡単には「ハイパー・インフレーション」にはならないが


―― 先生、よろしくお願いいたします。

柳川 よろしくお願いします。

―― まずお聞きしたいのですが、おそらく幕末のときは、かなりの激しいインフレーションが起こって、(幕府の)体制が変わっていきました。1850年を100とすると、1865年に200までいきます。ちょうど物価が2倍になるのです。それは金銀比率の問題とか、黒船が来たあと疫病があったり、地震があったりしながらも、2倍くらいまではもっていたのです。

 しかし、そこからわずか3年で、1869年になると、金で見たときは600で6倍になりました。それから、銀で見たときは800で8倍です。これで体制はメシが食えなくなって、もたなくなったという感じの話が1つあります。

 同時に、1980年代の本当に激しいインフレ(についてです)。そこは、実際、(現在の)経済学者で体験した人がいないので、先生のブラジル体験と引き合わせて、ほとんど可能性がないとはいえ、起こるかもしれない、その「ハイパー・インフレーション」というのはどういうものかということを、少しお話しいただければと思います。

柳川 そうですね。今ご紹介いただきましたように、私は本当にハイパー・インフレーションが激しかったブラジルに子どもの頃におりましたので、そういうものを実体験した数少ない人間で、少なくとも日本人の経済学者では本当にいないのではないかと思います。

 単にモノの値段が上がっていくだけだろうという状況ではまったくなくて、相当経済だとか社会のシステムが傷んでいくということです。特に真面目に働いている中間層といわれる人たちが、普通だと貯蓄をして、それで少しずつ資産を貯めていくわけなのですけれども、インフレ調整をして金利をつけてもインフレ率のほうが高いので、貯金をしてしまうとどうしても目減りしてしまうということになってきていました。

 だから、中間層がどんどん没落していくということが起きた大きなことです。かつ、経済も相当荒れていくという意味では、やはりあそこまでインフレが高くなってしまうと経済や社会生活が営めなくなります。それがさらに進み、社会不安だったり、場合によっては革命が起きたりするということを考えると、やはりハイパー・インフレーションは怖いものだなというのは実感として感じるところではあります。

 今は、インフ...

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