経済と社会の本質を見抜く
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
コンプライアンスよりも重いレピュテーショナルリスク問題
経済と社会の本質を見抜く(4)コンプライアンスとリスクの境界線
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
経済を動かす企業の活動に大きく関わるのが「コンプライアンス」の問題だ。事業の透明性を担保し健全に事業を運用する上では欠かせないコンプライアンスだが、そこには活動を萎縮させる負の側面もあるようだ。それが「レピュテーショナルリスク(企業の評判に関わるリスク)」である。いかにしてそのマイナス面を抑え、活発な経済活動を支えるか。SNSでの炎上など、昨今のメディア事情を踏まえて考える。(全6話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:10分49秒
収録日:2023年8月9日
追加日:2023年11月19日
≪全文≫

●コンプライアンスのプラス面とマイナス面


―― 続いてコンプライアンスについてですが、2016年くらいからコーポレートコードの中に採用されて、コンプライアンスがあったことによって日本の開示情報はかなり透明性を増して、いろいろな良くなった面と、逆に企画部門の優秀な人の4分の1くらいが(コンプライアンスのために)張りつかざるを得なくなったというマイナスの部分の両サイドがあると思います。先生はどのような感じで見ていらっしゃるのでしょうか。

柳川 そうですね。おっしゃる通り、両サイドあると思います。明らかに社会的に見ても、あるいは企業の業績的なものから見ても問題だと思われるような行為や活動が見過ごされてきたり、漏れてきたりした部分があったことは事実だと思います。それをコンプライアンスという形できちんとチェックして、問題があるところはちゃんと直していくという仕組みができたことは重要なことだと思います。

 ただ、その一方で、あまりにもコンプライアンスを気にするあまりに、そこに相当過剰な労力をかけたり、あるいは先ほど(前回)の話に近いですけれども、少し冒険的なことをやってみようというのもかなり問題になるのではないかということで抑制的になってしまったりという部分があることも事実です。プラスの面とマイナスの面がけっこうある気はします。


●コンプライアンスの徹底が生む「レピュテーショナルリスク」問題


―― もともと日本みたいにそんなに悪い人がいない社会で、そもそもこんながんじがらめのものが要るのかと。あれもおそらく、もともとは良かれと思ったのだけれども、気がついたらがんじがらめになっていて…。(でも今さら)そうしたらこれ(コンプライアンス)を消せよ、というような感じのことはできませんよね。

柳川 そうですね。いくつかのポイントがあるのだと思っています。1つ大きなポイントですけれども、明らかに白黒の線引きがしっかりする部分について、黒なものは黒だと社会が求めるのであれば、そこはしっかりやらないといけないと思います。ただ、グレーの部分や、ある程度当事者に自由度があるような部分というのも、コンプライアンスの話ではけっこうあります。

 そのときに、1つはグレーだと認定されるだけで問題だから、そこはもう全部白にしようというマインドが働いてしまうということがあります。そのときに大きなフ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(12)自転車の青切符と「法と自粛」
【10minで考える】自転車の青切符と「法と自粛」
テンミニッツ・アカデミー編集部
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
『「甘え」の構造』への誤解…甘えはダメなものなのか?
與那覇潤
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(5)ゴールドや暗号通貨への評価
ゴールドやビットコインへの評価は?…現代社会の写し鏡
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(3)戦争終結シナリオと大統領選挙の行方
MAGA連合に亀裂!?イラン戦争が及ぼす大統領選への影響
東秀敏
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀