経済と社会の本質を見抜く
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
公共心だけで人材確保は無理…迫られる給与体系の見直し
経済と社会の本質を見抜く(6)公的機関の人材確保
官僚を志望する優秀な学生の減少が取り沙汰されているが、日本銀行にも優秀な人材がなかなか集まらなくなっているという。それは、若くて優秀な人材が民間企業に流れてしまうからだが、ではパブリックセクター(公的機関)としてどうするべきなのか。鍵となるのは、現行の評価体系の見直しにあるようだ。講義後半では、現在の為替レートの見方を、為替を動かす要因に焦点を当てて解説する。(全6話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13分42秒
収録日:2023年8月9日
追加日:2023年12月3日
≪全文≫

●深刻化する人材不足と優秀な人材を呼び込むための方法


―― 次に、ついに日銀が人を採れなくなったことについてです。

 霞ヶ関で財務省が人を採れなくなった後でも、日銀と外務省だけはかろうじて大丈夫だったのですが、ついに日銀も外務省も、いよいよ採れなくなったそうです。日銀は金融で戦うので、外資の提示する年収と比べて昔は高かったのですけれども、それがどんどん崩れてきた。そして、(日銀が)叩かれるたびにだんだんとそのメリットはなくなってきました。

 そうすると、もうメガ(バンク)とちょぼちょぼくらいのところとの比較では全然敵わなくなり、いよいよ人が採れなくなったという感じです。結局、(例えば)東大の人は外資系コンサルを中心として、みんな他へ行ってしまいますよね。そもそも法学部が定員割れしていることもあるという状況ですし、優秀な人はみんな(民間の)経済のほうに行き、経済の優秀な人は外資に行き、というような感じの循環です。

 そういう循環系がある程度リクルーティングの中でできてしまっているとき、10年~30年という長期で見たら、おそらく相当深刻な問題ですよね。

柳川 そうですね。

―― 政策運営者で、今はまだ政治家が役人(のしり)を叩いても(活を入れても)、優秀な人たちの塊が残っているので回りますけれども、そのうち政治家が全部自分で背負わないと動かなくなるような時期がきています。でも、アメリカのシンクタンクのようなものが日本にあるわけでもないので、そうすると研究者の養成機関もだいぶ違いますよね。

柳川 そうですね。

―― そうすると、誰も国のことを考える人がいなくなったというような話が、いよいよ日銀にも及んできたという感じなのかなと思うのですけれども、特にパブリックのキャリアのところに人が行かなくなるということについて、どういう組み立てがあれば(改善が)可能になってくるのでしょうか。

柳川 そうですね。おっしゃる点は、日本が今抱えつつある大きな課題だと私もすごく思っていまして、なんとかしないといけないのではないかと、同じような危機感を持っているのです。

 やるべきことの1つは、その給与体系と、それからキャリア体系のようなことをもう少し見直すということだと思います。公務員だから安い給料で働き続けるべきだというのはもう成り立たないのだと思うので、持続可能性はない...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保