経済と社会の本質を見抜く
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
世界の超富裕層は日本の比ではない…国単位の政策の限界性
経済と社会の本質を見抜く(2)マクロ政策に対するミクロ的視座
続いて考えるのは、それぞれの社会の「違い」がどのように影響するのか、ということである。欧米と日本では、労働市場の構造からして異なる経済を持っており、それが金融政策にも影響を与えている。そもそも「日本」や「アメリカ」といった国単位で政策を考えることは適切なのだろうか。地域ごとに細かなエビデンスを集めることが可能な現代において、必要となるマクロ政策に対するミクロ的視座について解説する。(全6話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:9分40秒
収録日:2023年8月9日
追加日:2023年11月5日
≪全文≫

●マクロ政策に必要なそれぞれの社会へのミクロ視点


―― やはり国の成り立ちが違うし、企業の成り立ちが違うし、アメリカはどこまでも途上国部分(がある)というか、南北戦争以来ずっと成長している国ですよね。今も成長しているし、次々にグローバルサウスの人たちが移民として入ってくるし、(以前とは)まるで違う国ですよね。

柳川 そうですね。だから、そういう国の構造のようなことなどをどこまで実際の対応すべき政策の違いとして考えるのかというのも、1つアカデミックには大きなチャレンジではあります。

 ものすごく極端な見方からすれば、「どこの国でも必要な政策は変わらないのだ。ある意味で物理法則と同じように、金融政策はこうやればこう効くものだ。その国の文化とか制度とかというのはあまり関係ないのだ」という見方が1つあります。わりと教科書的にはそういう話を基本原則として最初に教えるわけです。

―― 基本原則ですね。

柳川 はい。ところが、細かい実際の政策を見ていこうとすると、やはりその国の制度だとか、法律だとか、あるいは場合によっては文化的な環境というものが政策のインパクトの与え方に相当違いをもたらしているというのは、多分に個人的な意見が強いかもしれませんけれども、やはり実感するところではあります。

―― なるほど。

柳川 なので、そういうところに深く入っていって、実際の日本の社会がどういうメカニズムで動いているかということを細かく見ていかないと、マクロ政策も効き方が相当変わってくるし、取るべき政策もだいぶ変わってくるのではないかと思います。

―― これは、医者でいうと、遺伝子のゲノムを解析して、その解析したゲノム、持っている遺伝子情報によって、(例えば)どこが糖尿病になりやすい体質なのか、脳梗塞が来やすいのか、それから薬の効き方とか、全部違っている(ということですね)。先生が以前おっしゃられていた歴史学も、データの検証による今までと違う歴史のページが開かれ始めたということですが、それと同じようなことなのでしょうか。

柳川 そうですね。おっしゃるように、歴史学はかなり過去の実際に起こったことをデータで見えるようになってきたので、そうすると文献から推測していたものと全然違う情報が手に入ってくるということで、1つ(いえること)は新しい情報が手に入るようになったということです。
...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治