2023年前半の金融市場と日本の行方
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日銀の金融政策はどうなるか?日本株の動きをどう読むか?
2023年前半の金融市場と日本の行方(1)全体観と日本株の動向
政治と経済
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
2023年春の時点で、世界経済ならびに金融市場でどのようなことが起こっているかについて解説する。実は現在、米国2年国債と10年国債の利回りの逆転現象が起きている(逆イールド現象)。これは通常、大きな景気後退前に現れる現象だというが……。そのようななか、足許では日本の株価上昇が目立ったが、これはどのような要因によるのか。さらに、日本銀行の金融政策はどうなるのか。そして、欧米の金融機関の破綻をどう見るべきか。わかりやすく分析していく。(全2話中第1話)
時間:13分48秒
収録日:2023年6月5日
追加日:2023年7月9日
≪全文≫

●金融市場の現況:インフレ傾向が続く米国、上昇する日本株


 皆さま、こんにちは。養田でございます。

 それでは、今回は2023年春の時点で発生している事象を元に、世界経済ならびに金融市場でどのようなことが起こっているのかについて、お話しさせていただきます。

 この資料をご覧ください。まずはテーマ、内容の確認です。ここ半年(2022年12月~2023年5月)で新たに起こったこと、変わらないことについてまとめています。

 短期的には2022年12月以降、ここにあるように、日銀がYCCのレンジ拡大をするなど金融政策に変化が生じ、その後の植田新体制発足で政策の行方が注目されています。そして米国におけるインフレ上昇が頭打ちになってきたものの、依然高い水準にあります。また、シリコンバレー銀行やクレディスイスをはじめ、いくつかの金融機関の破綻がありました。そして、ここへきて日本株が他国の株に比べ大きく上昇していることなどの事象が発生しています。

 補足ですが、イールドカーブコントロールの「イールド」とは、金利、利回りのことを意味し、イールドカーブコントロールとは、日銀の政策を例にとれば、中央銀行による国債の買い入れなどによって10年金利の水準を直接コントロールするものです。

 また、中長期的な話題としては、やや専門的になりますが、米国2年国債と10年国債の利回りの逆転現象が起きています。これを「逆イールド」になっている、などといいますが、これは通常、大きな景気後退前に現れる現象です。詳細を後ほどご説明したいと思います。

 最後に、同じく中長期的な話として為替の需給構造についてお話しします。


●「見直し買い」による日本株上昇も、ドルベースではまだまだ割安


 それでは、こちらの資料をご覧ください。まずは足許の金融市場環境を、特に米国を中心に見ていきます。

 このグラフは2019年のコロナ禍の発生前からの米株、金利、為替などの動きです。濃い目の青い線が米株、赤い線が米2年金利、その下の薄い青が10年金利、オレンジの階段状の線は短期の政策金利の推移です。また、少し濃い紫色の線が為替のドル円の値動きになります。

 グラフの上の囲みにありますように、コロナ禍の発生後、大規模な財政政策、金融緩和により株価は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫

人気の講義ランキングTOP10
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将