何回説明しても伝わらない問題と認知科学
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
今井むつみ(一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事/慶應義塾大学名誉教授)
「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどういうことなのか。情報量の多い世界の中で「確証バイアス」や「後知恵バイアス」などバイアスが果たす重要な役割について、『100万回死んだねこ』『わたし、残業しません。』という本を取り上げながら解説する。(全3話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:13分40秒
収録日:2025年5月12日
追加日:2025年11月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●「確証バイアス」なしで人間は生きられない


―― まさにいま(第1話で)先生がおっしゃいましたように、そこの部分の先生の思いと実際に社会に出てどうなのか、あるいは人を理解する、自分の言うことを理解してもらうというのがどういうことかというのがとても結びついた本だと思っています。

 先ほど(第1話で)先生がおっしゃった、人間の記憶容量には限界があるということで言うと、本(『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』)の中では、1ギガバイトしかないのだという数字を上げておられます。

今井 はい。

―― スマートフォンでありますとか、ちょっとしたメモリースティックと比べても圧倒的に少ない記憶容量なので、ある意味では必然的に、先ほど先生がおっしゃったスキーマということで、自分で認知の形をつくって、これはもうこういうものなのだと思ったほうが、情報をはるかに圧縮できる。ということで、どうしても人間はそういうことをやってしまうので、そこにどうしてもバイアスが生まれたりするということが出てきてしまうというご説明も、非常に分かりやすく読ませていただいたのです。

今井 はい。

―― このご本の中では具体的に、いくつかの認知バイアス、例えばこういうものがありますということでご解説をとても具体的にいただいているのですが、先生、この(テンミニッツ・アカデミーの)講義でも、いくつかその事例を教えていただいてもよろしいでしょうか。

今井 そうですね。1つには、人間のなくてはならないものとして、よく確証バイアスがいわれます。確証バイアスはあまりよくないことのように受け止められているではないですか。

―― はい。

今井 でも確証バイアスがないと、私たち人間は生きられないです。確証バイアスを私はむしろ「マイワールドバイアス」といっているのだけれど、要するに世の中、世界に向かい合って常に外界にものすごい大量の情報があるわけです。それは今、向かい合っている、お話をしている人の言語情報だけではなくて、どこかで音が鳴っていたりとか、目の前を何かが通り過ぎたりとか、常にものすごくたくさんの情報があって、その中でどの情報に注目するべきなのか。むしろ注目するべきというよりは、どの情報を無視しなくてはいけないのかがものすごく大事なのです。情報の抑制です。

 だから、大事なことだけに注目をして、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
賴住光子
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介

人気の講義ランキングTOP10
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(4)ユダヤ人と金融
金融業にユダヤ人が多い理由、そして大国興亡史の裏面のユダヤ人
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(10)ユダヤ人特集~鶴見太郎先生
【10min解説】鶴見太郎先生《教養としてのユダヤ人の歴史》
テンミニッツ・アカデミー編集部
ユダヤ神話の基本を知る
ユダヤ教の神話…天地創造、モーセの十戒、死後の世界
鎌田東二
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(4)新規事業成功のポイント
新規ビジネスの立ち上げ方、伸ばし方、見切り方の具体例
水野道訓