●ほめるも叱るもDMUは相手、相手から聴くことが必須
では、『〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術』の2回目にいきましょう。
前回、重要思考で、「考え、伝え、聴き、伝え合い、議論しよう」といいました。その中でも「ほめる」というものが「聴く」のところに入っています。
組織が人をほめる目的は何なのでしょうか。組織が人を叱るということの目的は何なのでしょうか。それは、自分が楽しいからほめるわけでも、自分が悲しいから叱るわけでもありません。相手がその行為を繰り返してほしいからほめます。繰り返してほしくないから叱ります。主体は相手です。DMUは相手なのです。
もし相手がそれに対して納得しないのだったら意味がありません。うまくいった。でも、本当には何がうまくいったと思っているのでしょうか。どの壁を越えたと思っているのでしょうか。まずそれを聴いてあげないと、本当に伝わる、もしくはインパクトを与えるほめ方はできないでしょう。失敗した。どうせ本人も「やっちまった」と思っています。でも、何を失敗したと思っているのでしょうか。そこをちゃんと聴いてあげていないのに、「これがダメだ」「あれがダメだ」と言っても何も意味がありません。
叱るもほめるもDMUは相手です。だから、相手からまず、何がダイジだったのか、どういう差を自分は生み出したのか、(何を)やってしまったのか、そういったことを聴くことが必須です。
●相手のいちばんのこだわりを深掘りする
実はこの「ほめる練習」というものを最初にやったのは、女子高です。その女子高は、下から上がっていくところで、途中から入ることがありません。ほぼ幼稚園から小学校、中学校、高校と、ずっと上がっていくのです。そこで授業をやるということになりました。
最初、4月にやったのは「決める」という授業でした。これはこの次(第3話)にお話をしますけれど、私は彼女たちに言いました。「君たちには決める力がない。なぜならば人生の大きな意思決定をこれまで一度もやっていないからだ。他の子たちは少なくとも高校に上がるときに意思決定をしている。いろんな選択肢の中で調べ、考え、決めているだろう。君たちにはそういう経験がない。でも高校3年...